欧州対外行動庁とは何ですか?

EEASのトップ、アシュトン上級代表を囲む駐日EU代表部の職員(2011年11月2日) Photos by S. Kuyama. © EU, 2011

玄葉光一郎外相とのワーキング・ディナーに臨むアシュトン上級代表(2011年11月2日) © European Union, 2012

被災地を訪問するアシュトン上級代表(2011年11月3日) © European Union, 2012

Q1. 欧州対外行動庁(EEAS)とは何ですか?
欧州対外行動庁(European External Action Service, EEAS)は、2009年12月発効のリスボン条約(改正基本条約)により創設された「欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表と欧州委員会副委員長を兼務する役職」(略称:上級代表)に仕え、それを補佐する組織です。EEASの実質的な稼動は、2011年1月から開始されています。日本におけるEUの代表である駐日欧州連合代表部をはじめ、世界に136あるEU在外代表部は、EEASの管轄下でEU対外行動の一翼を担っています。また、EU域外におけるEU加盟国大使館の会合は、これまでは加盟国の輪番制により議長役が担われてきましたが、EEASの創設後、EU在外代表部が議長を務めるようになりました。

Q2. 欧州対外行動庁(EEAS)の組織構成はどうなっているのですか?
EEASは、EUのいずれの組織からも独立しており、欧州委員会の対外関係総局、EU理事会事務局の対外関係部門および加盟国外務当局から編入されたスタッフなどにより構成されています。EEASには、事務総長、最高執行責任者および事務次長2名の幹部の下、地域ごと(アジア・太平洋、アフリカなど)と課題ごと(国際・多国間協調など)に分かれた複数の局が設けられており、それぞれの専門のスタッフが業務を担当しています。

EEASトップである上級代表は、EUの共通外交・安全保障政策(CFSP)を遂行するとともに、EU外務理事会の議長も務めます。初代の上級代表に就任したのは、欧州委員会通商担当委員(当時)のキャサリン・アシュトン(英国出身)で、2009年12月の就任以来、アシュトン上級代表は精力的に世界中を飛び回っています。2011年11月、アシュトン上級代表は日本を訪問し、玄葉光一郎外務大臣と会談したほか、東日本大震災の被災地のひとつ宮城県を見舞い、復興に向けたEUの支援をあらためて表明しました。

Q3. 欧州対外行動庁(EEAS)はどのような役割を果たしているのですか?
EEASには、前述の上級代表の指揮下に、EUの対外行動のさまざまな分野において、対外行動政策と他の政策の間の一貫性を担保し、EU加盟国・欧州委員会・EU理事会間の調整を図る任務が課せられています。EUが対外関係を構築する上で、EEASには中心的な役割を果たすことが期待されているのです。

EU対外政策:EEASの取り組みの一例
対バルカン支援
EUは、バルカン諸国7カ国に対する資金援助等を通じて、地域の政治経済の安定に貢献しています。西バルカン諸国は、EU加盟候補国(モンテネグロ)または潜在的EU加盟候補国(アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア)として認められ、EU拡大戦略の一角をなしています。
中東和平カルテット
EUは、国連、ロシアおよび米国と共に「中東和平カルテット」を構成し、中東地域における問題の平和的解決に向けて取り組んでいます。EUは、イスラエル側とパレスチナ側の双方が、最終的地位問題を全面的に解決する必要性を訴えるとともに、イスラエルおよび他の近隣諸国と共存する民主的で存続可能なパレスチナ独立国家樹立をもたらすことを目標として打ち出しています。
欧州近隣政策(European Neighbourhood Policy=ENP)
EUは、欧州近隣政策(ENP)の下に近隣諸国とパートナーシップを結び、政治、経済、社会にまたがるさまざまな分野における支援を行うことで、それらの国との関係強化を図っています。対象は、東欧、地中海南岸、中東などの16カ国・地域にわたり、経済と交易の活性化をはじめ、民主主義と法治国家の制度強化、人権擁護、テロや紛争回避のための政治対話の促進などに積極的に取り組んでいます。
気候変動と温暖化対策
EUは、京都議定書を通じた国際場裏における多国間協調や、二酸化炭素排出量削減などの気候変動対策において世界をリードしています。EUは、グローバルな相互依存が進む状況の下、エネルギーや環境といったテーマについても、有効な合意事項に基づく協調関係を成立させていくべく取り組んでいます。
平和維持活動・人道支援
EUは、国際的な紛争の回避や危機管理と和平の実現を目的として、軍事および文民のミッションを通じた平和維持活動や人道支援を積極的に行っています。その活動範囲は、欧州、アフリカをはじめアフガニスタンにも及んでいます。

リスボン条約発効により、国連におけるEUのオブザーバーとしての地位は、2011年3月に格上げされた © United Nations 2009

その他、国連との協調、人権の擁護、自由公正な貿易の推進、国際的な経済・金融危機対策の推進などについても、EUの重要な対外政策として数えることができます。

近年は、環境問題や気候変動、エネルギー、国際犯罪や国際テロ、安全保障、経済成長、社会保障、移民問題など、加盟国が個別に解決を図るのみならず、EUが地域として共同で取り組まなければならない課題が数多くあります。27の加盟国を抱えるEUが、国際社会で影響力を最大限に発揮するためには、加盟国が共通の政策をとるなど、諸外国や国際機関に対するEUとしての立場を明確にする必要があります。EEASがEUを代表して発言することで、個々の加盟国が発言するよりも、国際社会において強い影響力を発揮することができるのです。