2014.9.5

MESSAGE

離日にあたり――日・EU関係の進化を確信

離日にあたり――日・EU関係の進化を確信

このたび、駐中国欧州連合(EU)大使という新たな職責を担うため日本を離れることになり、今回でこのメッセージを書くのも最後になると思いますと、寂しさを感じずにはいられません。

2011年1月に来日してからの日々において、日本とEU の関係にここ何年かあまり感じることのなかった、新たな勢いと目的意識が戻ってきたことを目の当たりにできたことは、光栄かつ幸運であったと思います。

駐日EU大使に着任してからほんの2カ月後に発生した東日本大震災、そして、暗く困難な時に日本国民が見せた勇敢で強靭な姿は、今も目に焼きついています。欧州全域に支援と結束の気持ちがあふれ、人と人を結ぶ友情の絆がいかに強いものであるかが、証明されました。悲劇の真っ只中にあって、日本とEUのパートナーシップがどれほどの潜在力を秘めているのか、双方が認識を新たにしたのです。

世界的課題に関する協力と諸部門に特化した協力を深めるための戦略的パートナーシップ協定と、野心的で包括的な自由貿易協定の締結に向けた、並行交渉を開始するという合意に達するために、EUと日本の両方において、集中的な作業が行われました。2013年3月の開始以降、交渉は順調に前進しています。

この2つの協定を締結することにより、基本的価値を共有しながら、世界的な課題に取り組む日本とEUのつながりはより強くなることでしょう。実はすでに、協力は大きく強化されており、真の戦略的パートナーシップを醸成するという共通のビジョンも明確になっています。このことは、安倍首相が2012年12月に就任して以来、5回も訪欧したこと、またEU首脳陣との2回のサミットを通じて、安全保障協力の強化が着実に進捗していることにより、裏打ちされています。

このような動きは、世界の平和と繁栄に貢献するための日欧共通の責任を反映しているものであり、EUに欧州対外行動庁が創設されたことにより、促進されているのです。全EU機関を代表する初代駐日大使の任に就いたことを、光栄に感じています。

数多くの友人に出会い、多くを学ぶことのできた国、日本において外交官として3回目の任務を終えるにあたり、日・EU関係は堅固な基盤に立脚していること、そして間違いなく、より良いものへと進化することを確信しています。

ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート
Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使

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