2023.11.9

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気候変動対策に待ったなし

気候変動対策に待ったなし

駐日欧州連合(EU)代表部の公式ウェブマガジン『EU MAG』の発行再開に向けた準備が進んでいることを大変嬉しく思います。今後配信されるコンテンツが、読者の皆様にEUやEU加盟国、日・EU関係に関する情報をお届けするだけでなく、この激動の時代にEUと日本が連携することの重要性を示すものになると確信しています。

当ウェブマガジンの「再生」に当たり、私自身が心から重要であると思っているテーマであり、そしてまさに私たちの未来を左右する課題である「気候変動」に光を当てます。なぜなら、EU MAGとは異なり、現状が続けば地球に「復活」はないからです。「第二の地球」は存在しません。

今夏、度々発生した森林火災や台風、記録的な猛暑は、気候危機が悪化し、加速していることを如実に示しています。もう残された時間はありません。本気で取り組みを加速させなければ、パリ協定の1.5℃目標は未達に終わり、危機は一層深刻化すると見られています。

11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)でEUは、世界の野心を引き上げ、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上を確実に加速させることを求めていきます。欧州は、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で55%削減するという目標に加え、再生可能エネルギーを総エネルギーの45%に引き上げ、エネルギー消費を11.7%削減することを誓約しています。私たちは、これまで20年以上にわたる、特にここ数年の経験から、それは実現可能であるだけでなく、経済の成長や発展に寄与することも知っています。

しかし、EUが排出する温室効果ガスの割合は世界の6%にすぎません。そのため、地球規模で真に効果を上げるには、主要経済国を筆頭に、全てのパートナーが懸命に取り組むことが必要です。その意味で、世界6大陸にまたがる1万以上の自治体が既に参加している「世界気候エネルギー首長誓約」の誓約自治体数が増加していることに見られるように、日本をはじめ各国で、中央政府だけでなく地方自治体も高い水準の野心を示していることを心強く思います。

科学とイノベーションは、社会や産業の脱炭素化を推進する上で重要な役割を果たします。そのため、9,000億ユーロ規模のEU研究開発助成計画「ホライズン・ヨーロッパ」が設定した「ミッション」の一つは、「気候変動への適応」であり、EUの地域や都市、自治体のレジリエンス構築の取り組みへの支援に重点を置いています。

今回、EU MAGに「グリーン」関連の一連の記事が掲載されることで、気候対策の危機的状況や、私たちの地球の未来に向けたEUと日本の連携のあり方について改めて考えるきっかけとなることを期待しています。

ジャン=エリック・パケ
駐日欧州連合特命全権大使

Jean-Eric PAQUET
Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary

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