G7の一員としてテロや保護主義と戦うEU

再び、読者の皆さまへの月次のごあいさつの冒頭に、お悔やみの言葉を述べなければならないことを、大変悲しく思います。今回は、5月22日に、マンチェスターで起きた恐ろしい事件の犠牲者に、哀悼の意を捧げます。特に、多くの若者が犠牲になったことに、胸が張り裂けそうな思いです。この恐怖の攻撃の数日後に、イタリアのタオルミーナにおいて主要7カ国首脳会議(G7)が開催され、欧州連合(EU)も正式なメンバーとして参加しました。そこでは、参加各国の首脳により、テロと暴力的な過激主義との戦いに関する声明が採択されました。私も、当代表部スタッフと共に、黙とうを捧げました。

日本の多くの地域において、6月は入梅の季節です。EUでは、5月に交渉指令がEU理事会によって採択されましたので、英国の脱退に向けた交渉が正式に開始することになります。この交渉に入る上でのEUの目標は、影響を受ける全ての市民、企業、加盟国、そして、日本をはじめ、世界中の重要なパートナー諸国や友好国のために、最大限の確実性と明確性を確保することにあります。

梅雨の後には暑い夏の日々が到来するように、英国との交渉が、何十年間も双方が共有する深く結びついた歴史に見合うような、友好的で広範な関係へとつながることを、願って止みません。

このような交渉に専念するために、EUが内向的になるのではと思われている方々には、G7タオルミーナ・サミットの首脳コミュニケに則し、EUが国際的な役割を積極的に担い続けることを、確約いたします。それは、何よりも北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を非難するとともに、強くて持続可能でバランスの良い包摂的成長を達成するために、あらゆる政策手段を駆使することにも合意し、オープンな市場を維持し、保護主義と戦うという強固な姿勢を再確認するものです。

ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使