2014.11.26
Q & A
CEマークとは、欧州経済領域(EEA、European Economic Area)とトルコ(2005年にEU加盟交渉を開始)で販売される該当商品に表示が義務づけられる基準適合マークのことです。EEAは、欧州連合(EU)加盟28カ国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国であるアイスランド、リヒテンシュタイン、そしてノルウェーで構成されます。EEA域内の企業はもちろん、日本を含む域外国の企業もEEA内およびトルコで販売する製品にはCEマークを付けなければなりません。
CEマークの表示が必要な製品はEU指令で規定されています。同マークは、製品が安全性や品質についてEU域内で統一された基準を満たし、人や環境の保護のための必須条件を満たしていることを示しています。そのため、CEマークを表示している製品は、海外製であってもEEAとトルコへの参入および自由な販売・流通が認められるのです。なお、CEマークの信頼性を維持するため、基準に満たない製品が市場に流通しないよう、EU加盟各国の担当当局が、欧州委員会の協力を得て監視を行っています。
EUでは単一通貨ユーロの導入に代表されるように、加盟国間の貿易や自由競争が円滑に行われるよう、さまざまな障壁の撤廃を進め、単一市場の確立に向けた取り組みを続けています。EUの機能に関する条約(The Treaty of the Functioning of the European Union=TFEU)では「4つの自由」すなわち人、物、サービス、資本の自由な移動を、単一市場形成の要だと規定しています。この要の一つを担うのがCEマークであり、EUの目指す単一市場における物の自由な移動を保証するマークだといえます。
CEマーク採用国の一覧
(英語での国名のアルファベット順)
【EU加盟国】 |
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オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロヴァキア、スロヴェニア、スペイン、スウェーデン、英国 |
【EFTA加盟国】 |
アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー |
【EU加盟候補国】 |
トルコ |
1968年、EUの前身であるEEC(欧州経済共同体)設立条約によって加盟国間の関税が撤廃され、EUは単一市場構築に向けた第一歩を踏み出しました。しかし技術規格や健康・安全基準に関しては当時、各国がそれぞれに規制や制限を設けており、1970年代に入ってからも物の自由な移動とはほど遠い状態でした。
そこで1985年にジャック・ドロール委員長(当時)率いる欧州委員会は、新たな方法(ニューアプローチ)を用いて当時のEECにおいて7年以内に物理的・技術的そして税制上の障壁を撤廃することを掲げました。続いて、閣僚理事会(現EU理事会)では市場の統一化の動きに伴い、製品規格や安全基準、各種規則の調和(ハーモナイゼーション)を進めるため、総じて「ニューアプローチ指令群」と呼ばれる指令が次々と採択されました。EUの法体系において「指令」は加盟国を拘束しますが、適用には国ごとの立法措置を必要とします。そのため各国では当該指令の国内法への置換や、矛盾する法令や規制の撤廃など、法整備が進められました。
個々の「ニューアプローチ指令」採択後、そこで規定された健康、安全、環境関連の必要要求基準に基づき、製品の特性に応じた整合規格が定められ、適合性の具体的な評価方法が整備されました。このように段階を経た準備が進められ、1993年に閣僚理事会(同上)によってCEマークの導入が決定されました。
CEマーク表示の対象は主に電気機器や機械、玩具、医療用機器など安全性や環境への配慮が特に大切とされる製品群です。CEマークは最小寸法が5mmで製品のサイズに応じて拡大縮小して、製品または銘板に付けられます。
CEマークの対象製品はそれぞれの特性によって安全性や製品規格の基準が異なるため、「低電圧指令」や「機械指令」、「玩具指令」など、CEマーク表示を製品に義務づける21のEU指令が製品別に規定されています。これらの指令は1989年以降、段階的に適用が進められるとともに、更新や変更も行われています。2016年4月20日には「防爆機器指令」「測量機器指令」「簡易圧力容器指令」を含む8つの指令が新指令に置き換えられる予定です。
また、ニューアプローチ指令群以外にもCEマーク表示を義務づける指令があります。2009年に出された「エコデザイン指令」と「屋外用機器の騒音指令」、そして「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する(RoHS)指令」です。特にRoHS指令では規制対象範囲の拡大やサプライチェーンを遡って適合性評価をすることが必要とされるなど、近年の環境問題への関心の高まりから、日本でも注目を集めた指令です。このように、CEマークの対象製品やその内容は、時代背景や科学技術の進歩とともに変化してきました。
CEマーク表示を定めた指令
【ニューアプローチに基づく21指令】 *は2016年4月20日に改正予定の指令 |
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【CEマーク表示を義務づけるその他の指令】 |
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CEマークを表示するには、製造業者自身がサンプルの適正検査や適合証明となる技術文書の作成を行い、CEマーク適合を自己宣言する場合と、EEA加盟国およびトルコの当局が承認した第三者認証機関によって手続きを行う場合の2つの方法があります。いずれを選択できるかは製品ごとに決まっています。前者の場合、製品に該当する指令や適合性評価基準の選択も製造業者が行う必要があります。現在CEマークを必要とする製品の約8割は、この自己宣言方式によってマークの付与が可能であるといわれています。後者の場合は、製品と技術文書をCEマーク採用国あるいは製造国の第三者認定機関に提出し、定められた証明手順に則った検査を依頼し、手続きを行います。いずれの場合も、最終的には「適合宣言書」を作成し、製造者の責任においてCEマークが付けられます。
なお、CEマーク対象製品を扱う流通業者は、マークが付けられていることと、関連書類がすべて整っていることを確認する必要があります。また、EEA各国とトルコ以外の国から対象製品を輸入する業者は、製造業者が上記の手順を踏み、必要書類が揃っていることを確認しなければなりません。製造業者自らが自己宣言を行えることからも分かる通り、CEマーキングはあくまで各指令が規定する必須要求事項を満たすことを製造業者が自身の責任において示すものです。そのため、EUの標準化機関が定める整合規格を用いず、第三者機関あるいは製造業者自身が独自に適合性を証明することも製品によっては可能です。EUと日本はニューアプローチ指令群への適合性評価について相互承認協定を結んでおり、日本の認証機関で認証を行うこともできます。現在認証が可能な製品群は通信端末機器および無線機器、電気製品、化学品および医薬品の4つとなっています。
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