ルーマニア、結束をモットーに初の議長国就任

ルーマニア議長国のロゴ

2019年1月1日から半年間、ルーマニアが加盟後初のEU理事会議長国を務める。1月10日に首都ブカレストのアテネ音楽堂で開催された就任式典には、EUからタヤーニ欧州議会議長(写真上・左から2人目)、トゥスク欧州理事会議長(同・中央)、ユンカー欧州委員会委員長(同・右から2人目)が出席し、同国のダンチラ首相(同・左から3人目)とともに、それぞれスピーチを行った。翌1月11日には、ブルガリア議長国と欧州委員会の初会合がもたれた。

ルーマニア議長国は、”Cohesion, a common European value”(結束、共通の欧州の価値)をモットーに、優先事項として以下の4つの柱を掲げている。

  1. Europe of Convergence(収れんする欧州)
    • 2021年~2027年の多年次財政枠組みの交渉を進める
    • 欧州社会権の柱の実施を通してEUの社会的側面を発展させる
    • 経済通貨同盟の深化や成長・投資の振興などのためにEUの経済・金融分野の課題を進展させる
    • 欧州経済と産業の競争力を高めるため研究イノベーション、デジタル化、コネクティビティ(連結性)を促進する
  2. A safer Europe(より安全な欧州)
    • 加盟国間の協力促進やEUの治安システムの相互運用性の向上により域内の治安を強化し、サイバー空間での市民・企業・公共機関の安全を守り、サイバー攻撃への耐性を高める
    • テロとの戦いの継続
    • 欧州検察官事務所の稼動を促進
    • 包括的取り組みを基に移民・難民問題にさらに留意する
  3. Europe, as a stronger global actor(より強力に国際的役割を果たす欧州)
    • EUと北大西洋条約機構(NATO)との戦略的パートナーシップを固めつつ、EUの防衛・安全保障能力の強化を図る
    • 共通安全保障・防衛政策(CSDP)下の行動展開を支援する
    • 域内外の治安を高めるため、拡大プロセスを前進させる
    • 東方パートナーシップの開始10周年を祝しつつ、EUの近隣諸国でのより協調しより一貫した行動を促進する
    • 多国間主義や多角的貿易制度の近代化を確立し、経済・自由貿易パートナーシップ協定を拡大することで、欧州の通商上の利益を促進する
  4. Europe of common values (共通価値を持つ欧州):
    • 人種差別、非寛容、外国人嫌悪、ポピュリズム、反ユダヤ主義への効率的な対策を促進し、ヘイトスピーチを阻止する
    • メディアリタラシーの向上や偽情報対策の優良事例の共有を通して、ネット上の偽情報やフェイクニュースへの対策を推進する
    • 開発ギャップや男女の機会の不平等を縮小し、障がい者の教育や訓練へのアクセスを保障するための立法を支援・促進する
    • 労働市場や事業環境におけるジェンダー差別、および男女間の賃金格差を改善する対策をとる

期間 2019年1月1日~6月30日

関連情報

ルーマニア議長国のサイト(英語)

2019年後半はフィンランド、2020年前半はクロアチアが議長国を務める。「議長国」については、EU MAG 2017年5月号(vol. 60)の「EU理事会と議長国について教えてください」をご参照ください。