2012.4.30

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すべての世代にとって生きがいのある社会を

すべての世代にとって生きがいのある社会を

本年1月に発表された2011年10月1日現在の人口推計値によれば、日本の総人口は対前年比で過去最大の0.2%減少し、全人口に対する65歳以上人口の比率も過去最高の23.3%を記録しました。

欧州連合(EU)も人口高齢化という課題に直面しており、政策立案の責任者は、雇用、年金制度、健康、社会参加の問題など、広範な分野に及ぶ政策の見直しを迫られています。本年から労働人口の減少が予想され、60歳以上の人口は毎年およそ200万人ずつ増えると予測されています。これに対して、EUが昨年秋に実施した世論調査によれば、回答者の71%が欧州の人口高齢化を自覚しているものの、それを社会問題としてきちんと認識している人は42%にすぎませんでした。

このような状況の中、EUは2012年を「アクティブエイジングと世代間の連帯のための欧州年」に指定しました。高齢者の社会貢献に対する社会全体の認識を高め、すべての世代にとって活発で生きがいある社会を実現するための施策を促進するためです。詳細は今月号の特集で説明していますが、この複雑かつ重要で世界的な課題について考察するきっかけになればと思います。

今月号には、設立20周年を迎えた欧州委員会人道援助局(ECHO)の記事もあります。EUは90年代初めから世界最大規模の人道援助を提供しています。東日本大震災の直後にもECHOが集めた援助物資が東北地方に届けられ、日本に対するEUの連帯を具体的な形で表しました。

欧州統合プロジェクトの柱のひとつである、EU域内における移動の自由に関する記事もお読みいただきたいと思います。また、マンガの世界について、日本だけではなく、欧州の人びとも昔からこの媒体に大いに惚れ込んでいることをお伝えする記事もあり、楽しくお読みいただけます。

ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート
Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使

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