2016.4.22
OTHER
2016年4月12日、日本と欧州連合(EU)の産・学界の代表※1が東京大学に集まり、航空分野における新たな日・EU共同プロジェクト「VISION(Validation of Integrated Safety-enhanced Intelligent Flight Control)」を始動させた。VISIONは、安全性向上に関わる航空制御技術、中でも、特に緊急時における耐故障制御および画像を用いた着陸誘導システムの開発を研究す るもので、EUの研究資金助成プログラム「ホライズン2020」の下、「成長のためのモビリティ(Mobility for Growth)2015年 ‘航空分野における日本との国際協力’」の公募で選ばれた4件のプロジェクトの一つ。VISIONプロジェクトのEU側コーディネータはフランス国立航空宇宙研究所(ONERA)、日本側コーディネータは東京大学が務め、大 学・研究機関・企業を含む11パートナーが参加する。
他の3プロジェクトは、2025年以降のアジア市場で運航する中短距離旅客機の概念客室設計を手がける「FUCAM(Future Cabin for the Asian Market)」(EU側コーディネーター:エアバス・グループ、本年2月にミュンヘンで始動)、ジェット機のターボファンエンジン用のより軽い一体型熱交換器を実証する「SHEFAE2(Surface Heat Exchangers For Aero Engines 2)」(EU側コーディネーター: ロールスロイス、3月に英・ダービーで始動)、および航空機用の複合材製品の生産に関する価格の減少と増産に向けた研究活動の提案を目的とする「EFFICOMP(Efficient Composite Parts Manufacturing)」(EU側コーディネーター:エアバス・グループ、4月にパリで始動)である。
日本の経産省の協力の下、航空部門での共同研究の公募を行ったのは2回目で、2011年の初回の共同公募で選ばれた3件の共同プロジェクト(将来の超高速航空機に関する「HIKARI(High Speed Key Technologies for Future Air Transport)」、熱交換の「SHEFAE(Surface Heat Exchangers For Aero Engines)」、航空機の防除氷コーティング技術の「JEDI-ACE(Japanese-European De-Icing Aircraft Collaborative Exploration)」)は既に完了している。JEDI-ACEの最終会合は本年3月14日~15日に横浜で行われ、その結果は6月にベルリンで開かれる国際航空ショーで発表される予定だ。横浜の会合に出席した駐日EU代表部科学技術部のレオニダス・カラピペリス部長は、プロジェクトの完了を祝うとともに、経産省の協力に謝意を表した。また経産省からの出席者も、航空分野における進行中の日・EU共同研究を高く評価した。
航空部門は、情報通信技術および希少原料に続く、日・EU共同研究の3つの最重要分野の一つである。
VISIONの詳細は こちら(英語)
「 史上最大規模のEU研究助成プログラムー拡大を続ける日欧協働」(2014年12月号 特集 Part 2)
※1 ^ 参加したのはフランス国立航空宇宙研究所 (ONERA)、ダッソー・システムズ、ハンガリー科学アカデミー・計算機自動化研究所 (MTA SZTAKI)、アンマンド・ソリューションズ、エクセター大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、東京大学、リコー、電子航法研究所(ENRI)、三菱スペース・ソフトウエア
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