2017.4.7

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英国の離脱通告で強まるEUの結束

英国の離脱通告で強まるEUの結束

3月末の数日は、欧州連合(EU)にとって慌しい日々となりました。ローマでは、27の加盟国の首脳がローマ条約調印60周年を記念して集まり、欧州統合プロジェクトが直面している新しい課題に対応するための「ローマ宣言」を採択しました。数日後、英国がEU離脱の意思を正式に表明しました。

こうした経緯を経て4月には、27加盟国からなるEUに向けた話し合いが開始されます。ドナルド・トゥスク欧州理事会議長が述べているように、英国離脱の手続きの開始は、いずれの側にとっても喜ばしいことではありません。英国の離脱をEUは遺憾に思っています。60年もの間、平和、安定、自由、人権および法の尊重に基づく共同体の構築と拡大に取り組んできましたが、今後は2年間の交渉で英国が離脱するための諸条件を決定していかねばなりません。

月末には、EU27カ国が英国と交渉するための指針が示されることになっています。われわれが、この交渉の結果、EUと英国が全ての重要な側面において緊密に協力し合うパートナーであり続けることを望んでいるのは言うまでもありません。何よりもまず、EUはその市民や企業、そして加盟国に英国の離脱がもたらす不確実性を最小限にするよう全力で取り組んでいきます。

また、EU27カ国は、EUが一層強固で強靭となるよう取り組んでいきます。欧州統合プロジェクトはいまなお進行中なのです。一握りの人間の夢として始まった統合は、鉄のカーテンの向こう側にいた数百万人の人々にとっては希望の光となり、EUは今では国際舞台における経済および外交の主要な担い手として、気候変動や持続可能な開発といったグローバルな課題に率先して取り組む存在、そして、EU域外の地域の人々に対しては平和と安定、繁栄をもたらす存在となっています。

世界の多くの国と同じようにEUも、テロリズムから移民・難民の圧力や社会・経済格差まで、前例のない課題に直面しています。しかしながら、私は、EUとその加盟国が力を合わせれば、今後も欧州の歴史に新たな活力を吹き込んでいけると確信しています。

 

ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使

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