2018.9.19
OTHER
世界150カ国以上、数百万人のボランティアが同じ日に清掃活動を行う「国際海岸クリーンアップデー2018(World Cleanup Day 2018、以下:WCD2018)」の9月15日、駐日欧州連合(EU)代表部の外交官・職員、家族らが神奈川県・江の島で開催された海岸清掃活動に参加した。海洋資源の保全や海洋ガバナンスの強化に取り組んでいるEUは、この日、自身の海洋環境保護キャンペーン・啓発活動(#EUBeachCleanup Action)の一環として、日本をはじめ世界40カ国以上のEU代表部・事務所がそれぞれの国で海岸清掃を行った。
江の島の海岸清掃は、NPO法人「海さくら」(古澤純一郎理事長)が毎月主催している活動の一つ。9月15日の清掃は、WCD2018の活動の一環として実施された。WCDとは、もともとは2008年にエストニア(現EU加盟国)のNPO法人「Let’s Do It!」が自国で始めた市民活動。現在は世界規模の活動になっていて、現在までに約120カ国、2,000万人が不法な廃棄物を取り除くために参加している。日本でWCDのイベントが開催されるのは今年が初めて※1 。当日は約40のNPOや団体、企業、行政が各地で一斉に清掃活動を行った。
9月15日は、朝からあいにくの雨という悪天候にもかかわらず、約140人のボランティアが集まり清掃が行われた。駐日EU代表部からは、外交官、職員、家族ら20人が、そろいのEUキャップをかぶって参加。清掃に先立ち、江の島弁天橋(人道橋)のたもとで行われたセレモニーでは、注意事項などとともに今回のEUの参加も紹介され、最後に代表としてEUの外交官が合図を行い清掃が始まった。
それぞれトングとごみ袋を手に持ち、江の島弁天橋をスタートした一行は、橋や周辺の海岸で1時間半ほど、漂着してきたプラスチックごみ、生活ごみなどを集めた。海さくらの古澤理事長はEU代表部の参加について「皆さんが笑顔で清掃に参加していただいていたので、本当にうれしかったです。このように海外の方に来ていただくと、世界とつながっているのだということをあらためて実感しました」と話していた。
6万6,000キロメートルに及ぶ海岸線、2,500万平方キロメートルという世界最大の排他的経済水域を有するEUでは、さまざまな海洋資源の持続可能な利用・活用で成長を目指す「ブルー成長(Blue Growth)」に力を入れている。しかし、プラスチックを中心とする「海洋ごみ」の問題により、持続可能な状況を脅かしかねない事態も進んでいる。プラスチック包装材のリユースなどを柱とするプラスチック戦略(原題:A European Strategy for Plastics in a Circular Economy〈循環型経済における欧州プラスチック戦略〉)を策定するなどし、国連が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つともなっている海洋ごみの大幅な削減を行っている。
またEUは、国際舞台においても海洋保全に向けたリーダーシップを発揮している。例えば、2014年から毎年開催されている国際会議「Our Ocean(私たちの海洋)」。これは、世界中の公的機関、科学団体、金融機関、民間企業、非営利団体などが集まり、海洋環境保護について具体的な環境保護政策や活動を話し合い、実行を目指す国際会議で、今年の第5回会合は10月29日、30日にインドネシアのバリ島で開催される。EUは昨年の第4回会合を主催し(開催国はマルタ)、EU、その加盟国、欧州投資銀行(EIB)が合わせて総額28億ユーロ以上の拠出を公約。さらに、今年カナダ・シャルルボアで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、リーダーシップを発揮して海洋環保護を協議事項に盛り込むことにも成功している。
バリ島での「Our Ocean(私たちの海洋)」会議に先駆けて、自らも今回の海岸清掃活動に参加した駐日EU代表部。清掃終了後、家族で参加したフランチェスコ・フィニ公使は「小さいことではあるが、大きな政策課題である『海をきれいにする』という活動に貢献できたのは、非常に充実感がある。特に日本の方々と一緒にこのようなイベントに参加・貢献できたことはとてもうれしい。海洋汚染はとても大きな問題であるが、できるだけ多くの人々が少しずつでも参加していくことが大切だと思う」と今回の清掃参加の意義を語った。
※1 日本でのWCD2018の主催団体は、Let’s Do It! Worldをはじめとする「World Cleanup Day 2018日本実行委員会」。日本でのWCD活動を、駐日エストニア大使館と日本・エストニア友好協会が後援している
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