2012.8.2
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日本の皆さまは、欧州の人々にとって夏休みがとても大切で、8月の声を聞くと一斉に山へ、湖へ、海へと大移動を始める姿を想像しているのではないでしょうか。
欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットによると、EU27カ国に居住する人々が、休暇で旅行する回数は、2008年から2011年にかけて横ばいとなっています。昨年、EU市民は全体で延べ10億2千万回旅行しましたが、この数字は2008年から変わっていません。他方、出張旅行の数は2008年にピークに達して以降11%も減少しており、金融危機による影響が深刻であることを示しています。
また、ユーロスタットの統計から、人々の休暇先の76%が自国内ということもわかりました。欧州市民の大半が自国内で休暇をすごしていると聞けば、多くの日本人は意外に感じるかもしれません。
域内の移動の自由がEUの主要な柱のひとつであることから、人々が域内をできるだけスムーズに動くことができるよう、EUでは数多くの措置が講じられています。例えば、共通の欧州健康保険証(EHIC)があれば、訪問先の被保険者と同じ条件と費用で、救急医療を受けることが保証されています。また、共通の欧州緊急電話番号112は、EUのどこからでも無料で利用でき、最適な緊急医療サービス機関と通話できるようになっています。
また、鉄道や飛行機のキャンセルや遅延などに遭遇した人々を助けるために、乗客の権利を守る共通ルールも導入しています。7月1日には、携帯端末のローミング料金の上限規制を盛り込んだ、移動ローミングに関する新規則が発効しました。休暇中もスマートフォンを手放せない人たちには朗報に違いありません。
ご存じのように、欧州には、日本を含む世界中の国々から多くの旅行者が訪れています。読者のみなさまが、公用であれ私用であれ、近い将来にEUに旅してくださることを心から期待しています。
ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート
Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使
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