2014.3.28
FEATURE
イランの核関連施設での高濃度ウラン製造計画を巡る核開発問題では、アシュトン上級代表がフランス、ドイツ、英国のEU3カ国と中国、ロシア、米国の6カ国(E3+3)を代表してイランとの調整役を務め、EUとしての重要な貢献を行っている。2014年1月12日にはアシュトン上級代表を代行して、ヘルガ・シュミット欧州対外行動庁(EEAS)事務次長がイランのアッバス・アラグチ外務次官とジュネーブで協議し、6カ国およびEU(E3/EU+3)とイランによる共同行動計画の暫定合意を実現。1月23日には世界経済フォーラム(ダボス会議)の機会をとらえ、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長とイランのハサン・ロウハニ大統領が、アシュトン上級代表同席で会談を実施。同計画の暫定合意と1月20日からの実施を再確認し、同計画の遂行によるイラン・EU間の協力改善の可能性をイランに示した。
1月31日にはアシュトン上級代表がイランのモハマド・ジャバド・ザリフ外相と会談し、E3/EU+3とイランとの協議(イラン核協議)を、3月18日にウィーンで開始することに合意。同協議を受け、両氏は翌日共同声明を発表。「先月の我々の会合において設置した交渉枠組みに基づき、濃縮、アラクの重水炉、民生用原子力協力、制裁などを含む一連の課題を網羅する、内容の濃い有益な協議を行った」とし、「2014年4月7日から9日にかけて、ウィーンにおいて再度会合を行い、包括的協定に盛り込む意向である重要な分野に関する作業を継続する」と表明した。
2011年3月、シリアの政府・反体制派による内戦が勃発。EUは暴力と抑圧の解消、和平による政治的解決を後押ししてきた。2013年8月、化学兵器が使用されたことを受け、化学兵器廃棄にも積極的に取り組んでいる。EUはレバノン、トルコ、ヨルダン、イランの国境を越えたシリアからの約250万人の登録難民、そしてシリア国内で支援を必要としている900万人超の人々に対して支援がスムーズに行きわたらない状況を改善するため、継続的な努力を続けている。
EUは化学兵器禁止機関(OPCW=Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons)に積極的にコミットし、シリアの保有する化学兵器の廃棄をサポートしている。OPCWは国連と緊密に連携しながら作業を進める独立した国際機関で、「化学兵器の開発、生産、貯蔵および使用の禁止並びに廃棄に関する条約」の実現を監視する役割を担う。EUはOPCWの基金に1,200万ユーロを拠出し、この基金によって、シリアにおける化学物質や廃液の運搬・処理・廃棄を国連とOPCWが共同で実施する予定である。
国連、米国、ロシアと共に中東和平4者協議(カルテット)のメンバーであるEUは、イスラエルとパレスチナの二国家解決による中東和平実現を主張している。和平推進に向け2013年12月のEU外務理事会は、イスラエルとパレスチナ間で和平が成立した暁には、双方に対し、欧州市場へのアクセス、文化・科学・貿易・投資・企業間交流の促進など、さまざまな関係の緊密化のための異例の優遇措置をとることを決定している。また、EUはイスラエルによる平和交渉なき一方的行為に対しては一貫して反対を表明しており、3月21日にイスラエルが入植地に新たに2,300戸住宅を建設する計画を発表した際は、アシュトン上級代表が即座に「当計画の再考と決定の取り消しを求める」との声明を発表した。
2008年2月にセルビア内でコソボが独立を宣言したことにより、セルビアとコソボ間で緊迫した状況が発生。EUは交渉による平和的な解決に向け、建設的に取り組むよう呼びかけを続けた。2012年9月4日にアシュトン上級代表は、ブリュッセルでセルビアのイビツァ・ダチッチ首相と会談し、「和平に対する前向きな姿勢により、セルビアはEU加盟候補国の地位を獲得した」との見解を示した上で、「対コソボ関係の正常化をさらに進めることが、セルビアのEU加盟の見通しにとって最も重要だ」と同国に対し平和的解決を働きかけた。
2013年4月19日にはEUの仲介によりセルビアとコソボの関係正常化交渉における合意が実現、5月27日には合意規定を実行に移すための実施計画が採択された。和平という英断を下したセルビアとのEU加盟交渉となる第1回政府間会合は2014年1月21日に開催されている。
世界中での死刑制度の廃止を掲げるEUは、例えば日本に対しても、死刑執行のたびに遺憾の意を表明し、執行停止を求めている。最新の事例では2013年12月12日に、2人の死刑囚が死刑執行されたことを受け、即日アシュトン上級代表の名前で声明を発表している。「事件の重大性を認識しつつも、いかなる事件、状況下においても、EUは極刑に反対し、人間の尊厳を守るには死刑廃止が不可欠である」とのEUの確固たる立場を繰り返し述べ、「死刑について真剣に検討し、見直し、極刑から距離を置くための誠実な国民議論を促すよう求める」と強調している。
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