2021.12.7
MESSAGE
2021年に別れを告げ、新しい年を迎える準備をしている今、世界が依然として新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われているという事実に少なからず落胆を覚えるのも無理はありません。
しかし、この一年は、世界中の人々がワクチンを届け、重要なサプライチェーンを動かし続け、欧州連合(EU)の「デジタルCOVID証明書」のような、移動を容易にする革新的な方法を開発するなど、人間の精神の強靭さや意志の強さを示した時期でもありました。
また、パンデミック(世界的大流行)により、日・EUパートナーシップのさらなる拡大と深化が妨げられることもありませんでした。11月下旬に予定されていたシャルル・ミシェル欧州理事会議長の来日は新型コロナウイルスの感染状況を理由に延期となりましたが、ミシェル議長は岸田文雄総理大臣と電話会談を行い、日・EUの戦略的パートナーシップを確認しました。両首脳は、インド太平洋地域の平和と繁栄のために協力し、グリーン、デジタル、サイバーなどの課題に関する連携を強化することで合意しました。さらに、日本とEUの首脳はアジア欧州会合(ASEM)第13回首脳会合にも参加しており、同会合ではパンデミックの克服に向けて継続的に取り組むことで参加者の意見が一致しました。
2022年に目を向ければ、1月には核兵器不拡散条約(NPT)の第10回締約国再検討会議の開催が予定されており、来年は、核軍縮と戦略的安定への取り組みが求められる年となるでしょう。NPT発効50周年という重要な年に開催される再検討会議で良い結果が得られるよう準備を進める中、日本とEUは、同じ目的を追求しています。
欧州は、人権と民主主義の確固たる擁護者です。人権とデューディリジェンスの推進は、グローバルな課題に取り組む上で不可欠であり、原則に基づく外交政策の重要な一部です。そのため、EUは、中谷元氏が新設の人権問題担当首相補佐官に任命されたことを歓迎するとともに、今後、中谷氏と協力していけることを心待ちにしています。
パトリシア・フロア
駐日欧州連合特命全権大使
Patricia FLOR
Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan
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