2013.12.19

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実り多い一年の終わりに思う事

実り多い一年の終わりに思う事

本年も残すところわずかとなり、「光陰矢の如し」を実感しています。欧州連合(EU)と日本にとっては、その関係が大きく進展した実りの多い一年でした。

2013年は、EUと日本の双方が2つの協定、すなわち戦略的パートナーシップ協定(SPA)と自由貿易協定(FTA)に向けた交渉を正式に開始する決定を下した年として、最も強く記憶に残ることでしょう。

これまでに、それぞれ3回の交渉が行われていますが、これらの協議を成功裏に妥結することが、日・EU関係をさらに高度な次元に推し進めるために不可欠だという認識を双方が共有しています。SPAは政治面での提携強化を目指すものであり、エネルギー安全保障、研究・イノベーション、気候変動など、多様な分野における日本とEUの協力への道を開くだろうと期待されます。他方、野心的な貿易自由化を目指すFTAは、双方の雇用と成長に大きく貢献するものとなるでしょう。

11月にはヘルマン・ヴァンロンプイ欧州理事会議長とジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長が第21回日・EU定期首脳協議のために来日し、二つの協定締結に向けた決意を強調しました。今回安倍晋三総理大臣と協議した広範な議題には、サイバーセキュリティ、宇宙の平和的利用など、新たな協力分野も含まれています。

今回の首脳協議の共同声明は、近年のものと比較すると長めかもしれませんが、それも日・EUの戦略的連携の重要性と深さ、範囲の広さを裏付けています。成熟した民主主義を擁し、価値を共有するパートナー同士が、どれだけ多くの領域で協力できるか、また協力すべきであるかが示されているのです。さらなる関係強化が期待できる一例を挙げましょう。双方の首脳は、日本とEUは開発政策への取り組みを重視し、この分野における対話の強化が必要であると合意しました。また、安全保障問題に関する日・EU協力の拡充に向けた決意を再確認するとともに、世界的な安全保障問題、危機管理、平和維持に関してより緊密な協力ができるよう検討したいと述べました。

ヴァンロンプイ議長が、首脳協議の直後に行われた記者会見で披露した自作の俳句に、日欧首脳の思いが見事に凝縮されています。

離れ居て 星日の旗に 集い来る(はなれいて ほしひのはたに つどいくる)

言うまでもなく、当代表部にとって、日本、そして日本の人々は「遠い」存在ではありません。日本とEUが力を合わせることにより、世界をより良くすることに貢献できるという信念を持って、我々は相互のつながりを強め、日本の人々との友情を深めるために、これからも努力を続けます。

ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート
Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使

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