2024年欧州議会選挙の結果（概要）

欧州連合（EU）の加盟27カ国で6月6日～9日、5年に一度の欧州議会選挙（定数720）の投票が行われた。開票の結果、EUに懐疑的な右派・極右勢力が伸長したが、全体としては親EU勢力3会派が過半数を維持した。投票率は51.08％で、前回2019年の50.66％をわずかに上回った。

親EU勢力では、最大政党グループの中道右派「欧州人民党（EPP：Group of the European People’s Party）」は188議席（751議席が対象だった2019年選挙は176議席）、第2勢力の中道左派「欧州社会民主進歩同盟（S&D：Group of the Progressive Alliance of Socialists and Democrats in the European Parliament）」が136議席（同139議席）を獲得したが、中道リベラルの「欧州刷新（RE：Renew Europe Group）」は77議席（同102議席）と大幅減となった。

一方、EUに懐疑的な立場を取る勢力では、「欧州保守改革（ECR：European Conservatives and Reformists Group）」が78議席（同69議席）に伸長。また、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相らが新たな政党グループ「欧州の愛国者（Patriots for Europe）」を創設し、フランスの極右政党「国民連合（RN）」などが合流して7月8日に正式発足した。同グループには、RNをはじめ「アイデンティティーと民主主義（ID：Identity and Democracy Group）」に所属していた複数の政党を含む12加盟国の13政党が参加しており、計84議席となって一気に第3勢力に浮上した。※各グループの議席数は文末の【図1】参照

EPPに所属するウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は6月9日、暫定集計結果を受け、同政党グループの勝利を宣言した上で、「極左勢力と極右勢力に対抗する砦を他の（中道派）政党とともに築いていく」と強調。S&Dの主体となっている「欧州社会党（PES：The Party of European Socialists）」のニコラ・シュミット欧州委員は、欧州議会におけるあらゆる親EU勢力と協力する用意があると表明した。一方、ECRのアシタ・カンコ副議長は、同グループがこれまでフォン・デア・ライエン委員長と良好な関係を築いてきたことを踏まえて、次期議会でもこの協力関係を継続することを否定しなかった。

欧州理事会は6月27日、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長を続投させる方針で合意したほか、シャルル・ミシェル現常任議長の後任にポルトガルのアントニオ・コスタ前首相を選び、ジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長の後任にエストニアのカヤ・カラス首相を指名することでも合意した。早ければ、7月16日～19日に開かれる新欧州議会（2024年～2029年議会会期）の第１回本会議で採決される見通しだ。

【図1】2024年欧州議会選挙の結果（7月12日現在）

※2024年欧州議会選挙の結果詳報は8月にも公開予定です。

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