歴史、芸術・文化、料理、数多くの世界遺産など、欧州は旅の目的地として語り尽くせない魅力に溢れている。そんな欧州を再発見してもらおうと、欧州議会が「隠れた名所」をソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のフォースクエア(foursquare) を利用して発信している。その名も「Re-discover Europe(ヨーロッパ再発見)」。2014年は「伝統(tradition)」をテーマに、EU加盟の28カ国から各1カ所ずつお薦めスポットをピックアップ。アルプスの湖水リゾートから世界遺産の要塞まで、日本人が旅行先としてあまり訪れることのない、ヨーロッパの秘宝とも言える場所を選んでいる。以下、<湖><海岸/島><史跡><遊歩道><公園/テーマパーク><美術館/博物館><都市>の7つのカテゴリーに分けて28のスポットを紹介しよう。
【湖】
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1.ブレッド湖(スロヴェニア)Blejsko Jezero / Lake Bled
スロヴェニア北西部に位置するこの湖からはアルプスの山々も望むことができ、アルプス周辺のリゾート地の中でも最も美しい景観を誇る。針葉樹の森に囲まれたエメラルドグリーンの湖は「アルプスの瞳」と呼ばれ、湖面に映る山々の静謐な美しさは、年間を通じて世界各地から人々を引き付けている。治療効果のある温泉も湧き出ており、保養リゾートとしても名高い。
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2.モルスキ・オコ湖(ポーランド) Morskie Oko
ポーランドとスロヴァキアの国境伝いのタトラ山脈にある、火山の噴火によってできたカルデラ湖。モルスキ・オコとは「青い瞳」という意味で、透き通ったコバルトブルーの水は神秘的な美しさをたたえている。
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3.イサルレ湖 (フランス)Lac d’Issarlès
フランス南部アルデシュ県にある、火山の火口湖。湖水浴やカヌー、ハイキングなどのアクティビティを楽しめる。静かな湖の砂浜での日光浴もまたいい。
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4.ペイプシ湖(エストニア)Peipsi järv
エストニアとロシアの国境に位置するヨーロッパ有数の大きな湖。その周囲を巡れば、さまざまな民族の文化や伝統的な食べ物、そしてその暮らしぶり、さらには雄大な自然に出会うことができる。
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【海岸/島】
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5.ジャイアンツ・コーズウェイ(英国)Giant’s Causeway
北アイルランドがあるアイルランド島北端の約8キロメートルに及ぶ海岸に沿って広がる奇岩群。世界自然遺産にも登録されており、その名は「巨人の石道」を意味する。現地にはさまざまな巨人伝説が存在するが、この芸術的な景観は約5,000万年以上前に起きた火山活動によって形成された。六角形の柱を束ねたようなこの地形は「柱状節理」と呼ばれる。高さ約12メートルの石柱が整然と並ぶ「巨人のオルガン」や、ブーツの形に浸食された「巨人のブーツ」など、巨人伝説にちなんで名付けられた造形物が点在する。
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6.イニシュボフィン島(アイルランド)Inishbofin
アイルランド中西部の沖合、北大西洋上に浮かぶ小さな島。イニシュボフィンとはゲール語(アイルランド語)で「白い牛の島」という意味である。人口180人ほどの素朴な島には手付かずの自然があり、珍しい花や鳥などが数多く生息している。
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7.サモトラキ島(ギリシャ)Samothraki
エーゲ海北東部に位置する島。サモトラケ島とも呼ばれ、現在はルーブル美術館に展示されている「サモトラケのニケ」が発掘された地である。長さ17キロメートル程の小さな島の中に、サモトラキ神殿群や古代都市遺跡のパレオポリなど、多くの見所がある。
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8.ララビーチ(キプロス)Lara Beach
キプロス島西部アカマス半島にある、長い海岸線を持つ美しい浜辺。ウミガメがやってくる場所として知られているが、ウミガメ保護のため、浜辺に傘を持ち込むことは禁止されている。
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9.サン・ブラス(マルタ)San Blas
マルタは、イタリア・シチリア島の南に位置する地中海に浮かぶ島国。サン・ブラス湾はマルタ島と共にマルタを構成するゴゾ島にある。訪れる人の少ない、静かな赤い砂の浜辺ではゆったりと海水浴を楽しめる。
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【史跡】
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10.ボックの砲台(ルクセンブルク)Casemates du Bock
963年に築かれた城が何世紀にもわたって要塞として拡張され、17世紀に当時の支配国スペインがここに砲台を建設した。さらにオーストリア支配下の18世紀に総延長23キロメートルの地下通路が拡張され、深さ40メートルの、何層もの防御システムが完成する。この難攻不落の城塞により、ルクセンブルクは長い間「北のジブラルタル」(ジブラルタルはイベリア半島南端の要塞都市)とも呼ばれていた。ボックの砲台から旧市街地にかけての一帯はユネスコの世界文化遺産に登録されている。
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11.ジュラ城(ハンガリー)Gyulai Vár
ハンガリー南東部のジュラ市にある15世紀に建てられたゴシック様式の城。16世紀から17世紀のハンガリーとオスマン帝国との戦争における要塞の一つだった。現存する中央ヨーロッパ唯一のレンガ造りの城であり、現在内部は博物館や劇場として利用されている。
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12.カレト要塞(ブルガリア)Kaleto fortress
ブルガリア北東部の町エレナの丘の上にある石造りの要塞。1世紀から3世紀にかけてローマ人によって建てられた。19世紀のセルビアとブルガリアとの戦争でも要塞として重要な役割を果たしたが、現在はブルガリアの文化遺跡として保存されている。
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13.ルベニツェ(クロアチア)Lubenice
4,000年以上前に作られた要塞都市。海抜380メートルの高さに位置しており、眼下にはアドリア海の絶景が広がる。古代から中世にかけて都市として機能していたが、現在は20数人がその中で暮らす。ユネスコの世界遺産に申請中。
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【遊歩道】
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14.ハルの森(ベルギー)Hallerbos Bois de Hal
ワーテルローから7キロメートルほどの場所にある森。春になるとブルーベル(野生のヒヤシンス)が一面に咲き、森の中に青紫色の絨毯を敷いたような幻想的な風景が広がる。見頃は4月中旬~下旬だが、年によって変わる。ブルーベルの後はすずらんの季節となり、この景色もまた美しい。花を眺めながら森を歩く最長7キロメートルのハイキングも楽しめる。
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15.ロータ・ヴィセンティーナ(ポルトガル)Rota Vicentina
ポルトガル西部の海岸地区にある全長約350キロメートルのハイキングコースで、2つの遊歩道がある。241キロメートルの「歴史の道」は林道、市街地、村落を通り自転車の利用も可能。一方の「漁師の道」は、海や漁場を望む道を歩く111キロメートルの徒歩専用コースである。
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16.愛のトンネル(ルーマニア)Tunelul lubirli
廃線となった鉄道の線路に沿って木々がトンネル状に生い茂っている。カップルがこのトンネルをくぐると願いがかなうと言われる、ルーマニアで最もロマンチックな場所の一つ。季節によってトンネルの色は多彩に変化する。
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【公園/テーマパーク】
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17.デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園(オランダ)National Park De Hoge Veluwe
面積約5,500ヘクタール(東京ドーム約1,170個分)のオランダ最大の国立公園。入場は有料だが、広大な園内は無料の貸し自転車で回ることができる。ゴッホの作品を多数収蔵しているクロラーミュラー美術館はぜひ訪れたい場所。園内にはヘラジカの保護区もあり、運が良ければ専用ののぞき穴からヘラジカの姿を拝むことができる。
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18.サレック国立公園(スウェーデン)Sarek National Park
北極圏のラップランド地方に位置するスウェーデン最大の国立公園。切り立った山々、巨大な氷河、深い谷など、手付かずの自然がそこにある。トレッキングの際は登山の経験としっかりとした装備が必要だが、トナカイと遭遇できるのはこの地ならではのサプライズだ。
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19.ベリアンスカ洞窟(スロヴァキア)Belianska jaskyňa㉕
ポーランド国境に近いタトラ国立公園の中にある洞窟で、1,360メートルの洞窟内を現地語で案内するツアーがある。途中には鍾乳石、滝、池などのほかに、洞窟の天井から池にしたたり落ちる水の音にちなんで「音楽堂」と名付けられた部屋もある。
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20.タベルナス砂漠(スペイン)Desierto De Tabernas
スペイン南部アンダルシア州にある、ヨーロッパ唯一の砂漠地帯(実際には半砂漠)。イタリア映画「夕陽のガンマン」など数多くのマカロニウェスタンのロケ地であり、テーマパークの映画村では本格的なウェスタンショーを楽しむことができる。
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21.ラッペーンランタの砂の城(フィンランド)Lappeenrannan hiekkalinna
フィンランド南東部、ロシアとの国境から30キロメートルに位置するラッペーンランタにある公園では、毎年6月から8月末まで砂で築いた巨大なモニュメントや彫刻が展示される。2014年のテーマは「世界の音楽」で、音楽に関連したさまざまな砂の造形物が制作・展示された。
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【美術館/博物館】
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22.ニーダーズルツ博物館村(オーストリア)Museumsdorf Niedersulz
オーストリア・ワインの産地として有名なヴァインフィアテル地域。そこに点在していた80もの歴史的な建物を移築して、この博物館村が造られた。農民の家や水車、墓地、教会、牧場もあり、牧歌的な風景はまるで村そのもの。建物の中には家具やワイン作りのための道具など、数千点もの工芸品が展示されている。ミュージアムショップや各種イベントも用意されており、旅行者を飽きさせない。
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23.ルイジアナ近代美術館(デンマーク)Louisiana Museum of Modern Art
コペンハーゲンの北約35キロメートルにある、1958年に邸宅を改築して作られた美術館。世界で最も美しい美術館の一つとして称えられている。ピカソ、アンディ・ウォーホルの絵画やヘンリー・ムーア、アレクサンダー・カルダーの彫刻など、世界的に有名なモダンアートのコレクションを有する。
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24.シュコダ博物館(チェコ)ŠKODA Muzeum
1895年創業のチェコの自動車メーカー「シュコダ」の博物館。製造工場だった場所に約340点に及ぶ自社の自動車やバイクなどを展示している。乗用車や商用車だけでなく、かつてシュコダ社製の車が国際ラリーに参戦していた時代のレーシングカーなども展示されている。
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25.ソビエトの極秘掩蔽壕(えんぺいごう)(ラトビア)Padomju slepenais bunkurs
ラトビアがソビエト連邦に属していた時代に建設されたシェルター。核戦争が起こった際に政府高官や国家の要人達が避難できるように地下9メートルの深さに作られた。2003年まで非公開だったが、現在は博物館として当時の設備をそのまま展示している。
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【都市】
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26.エアフルト市(ドイツ)Erfurt
ドイツ中央部のなだらかな丘陵地帯に位置する、テューリンゲン州の州都。大聖堂や欧州で最も古いユダヤ教の教会があるほか、街を歩くと中世から近代までの様々な様式の建築物に出会うことができる。中でも有名な建造物がクレーマー橋で、中世における東西交易の象徴として知られている。橋の両側にはアンティークや美術工芸品を売る店が並ぶ。
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27.クライペダ市(リトアニア)Klaipėda
クライペダはバルト海に面した海港都市。3つの自転車専用道路がクライペダを起点にして延びており、リトアニアの美しい沿岸地域をサイクリングで巡ることができる。自転車専用道路の合計距離は200キロメートル以上で、海辺の景色以外にも国立公園、歴史遺産、ユニークな建築物などを見て回ることができる。
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28.アッシジ市(イタリア)Assisi
イタリア中部のウンブリア州にある、聖フランチェスコの出身地として知られる都市。サン・フランチェスコ聖堂やサンタ・キアーラ修道院などがあり、カトリック教の巡礼地として人気がある。「アッシジ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群」はユネスコの世界遺産に登録されている。
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関連情報
「Re-discover Europe 2014」(foursquare)のページはこちら
本稿の写真はすべて同サイトより転載。