EU首脳、欧州の将来に関する「シビウ宣言」を採択

シビウ宣言

「われわれ欧州連合（EU）首脳陣は、ルーマニア・シビウで会合を持ち、共通の未来について議論・検討した。

数週間の内に、欧州市民は欧州議会選挙で自らの代表を選出するが、この基本的な権利は初めて行使されて以来40年が経つ。平和と民主主義の下で欧州が再統合したことは、数ある成果のうちの一つにすぎない。創設時より、EUは価値と自由に動かされて、欧州全土、また域内外に安定と繁栄をもたらしてきた。長年かけて、EUは国際舞台における主要な担い手へと成長した。約5億人の市民と競争力のある単一市場を抱えるEUは、世界規模の貿易を先導し、国際政治を形作っている。

われわれは、ますます不安定で困難になる世界において、団結することで強くなるというわれわれの信念を再確認する。われわれは、その他の欧州諸国の欧州への展望を理解しつつ、EUをさらに強化し一層明るい未来を作るというEU首脳陣としての責任を認識している。そのため、この責任を果たす一助となる、以下の10のコミットメントにわれわれは本日全会一致で合意をした。

• 東から西、北から南に至るまで、われわれは一つの欧州（one Europe）を守る 。30年前、何百万もの市民が自由と統合のために戦い、数十年にわたって欧州を分断してきた「鉄のカーテン」を崩壊させた。われわれの集団的な利益に反する分断の存在する場所はどこにもない。
• 良い時も悪い時も、われわれは統合を維持する。困難な時には相互に連帯を示し、常に協力し合う。われわれは、一つの声で発言することができ、そしてそうする。
• われわれは、理解と尊敬の精神で互いの意見に耳を傾け、常に共同で解決策を探る。
• われわれは、引き続き われわれの生活様式、民主主義、法の支配を擁護する。全ての欧州市民の奪うことのできない権利や基本的な自由は、苦闘の末に勝ち取られたものであり、決して当たり前のものではない。われわれは、基本条約に規定されている共通の価値や原則を守る。
• われわれは、最も重要なところで職務を遂行する。欧州は大きな課題には引き続き大きな力をもって取り組む。全ての欧州市民の懸念や期待の声に耳を傾け、EU を市民にとってより身近なものにし、強い意欲と決意を持ってしかるべく行動する。
• 労働市場、福祉、経済、デジタル化の問題であれ、いかなる場合も、われわれは公正の原則を守る。域内の格差を一層是正し、欧州で最も弱い立場の人々を常に助け、政治よりも市民を優先する。
• われわれの意欲に見合う手段を持つ。目標の達成と政策の遂行に必要な手段をEUに備える。
• われわれは、次世代の欧州市民のために将来を守る。若者に投資し、将来にふさわしいEU を構築し、21世紀の最も喫緊の課題に対応できるようにする。
• われわれは、ソフト・ハードパワーに投資し、世界のパートナーと連携することで、市民を守り、市民の安全を確保する。
• 欧州は、責任ある世界のリーダーとなる。今日直面している課題は、全ての人に影響を与えている。世界のパートナーと引き続き協力して、ルールに基づいた国際秩序を擁護し発展させ、新しい貿易の機会を最大限に活用し、環境保全や気候変動対策など地球規模の課題に共同で取り組む。

われわれが決定することは、これら10のコミットメントの精神と文言に従うものである。EUは 昨日よりも今日の方が強く、明日のためにその力を付け続けることをわれわれは望んでいる。それが、将来の世代に対するわれわれのコミットメントであり、また一体となった将来を志向する、シビウの精神、27の加盟国から成る新しいEU の精神である」