2015.10.1

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連帯と責任の精神で難民問題にあたるEU

連帯と責任の精神で難民問題にあたるEU

この上ない危険を冒し、自らの命さえ賭けて欧州連合(EU)に来ようとする人々が後を絶たない中、この数週間、EUは実に難しい対応に迫られてきました。

現下の危機は、歴史的に移民や難民と無縁ではない欧州にとっても、かつて経験したことのないほど深刻なものです。南方の近隣地域における不穏が高まっていることが、人々の流入を引き起こしている最大要因であり、EUはこの難問に協力して当たることが求められています。簡単な解決策はなく、短期と長期の両方の施策群を駆使することが、不可欠です。

EUの対外国境の適切な管理は、共通の責任であり、域外と国境を接する諸国だけに負わせるべきものではありません。すでに取られた多くの措置に加え、国際的庇護を必要とする16万人を、最も影響の大きい加盟国から他の加盟国に再配分するために、2つの緊急施策が採択されました。

その重要性に見合った報道がされていないと思われますが、この問題に関するEUの活動には対外的な側面も存在しているのです。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)およびその他の機関による難民への緊急援助を支援すべく、EUは少なくとも10億ユーロの援助を追加します。また、レバノン、ヨルダン、トルコをはじめ、シリアからの難民危機に直面している国々を支援しています。トルコとの協議を強化し、西バルカン諸国による移民・難民の流れへの対処を手助けするとともに、大量難民の根本的原因を解決し、アフリカにおける避難民への対応も進めています。シリア自体についても、今の紛争を終わらせるための国連主導の努力に、EUは積極的に参加する所存です。

現下の危機は、何週間、何カ月の単位では解決できないでしょうが、EUは連帯と責任の精神の下、その核たる価値観に基き、対応に努めます。

 

ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使

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