EUの開発政策を後押しする欧州市民

欧州連合（EU）と域外国との関係において、開発政策は、外交、安全保障、通商政策とともに中核をなすものです。2010年に、欧州委員会と加盟国は合わせて、世界の政府開発援助（ODA）の半分を超える538億ユーロを拠出しました。EUは世界最大のODAを提供していることに誇りを持っています。

EUが昨年秋に実施した世論調査（ユーロバロメーター）によると、回答者の85％が開発援助は重要だと考えており、68％が発展途上国に対する援助を増強するとしたEUの公約を維持ないし一層拡大すべきとの意見を持っています。これらの数字が特に重要に思われるのは、多くの欧州市民が、長引く債務危機の中にあっても、開発援助を提供することを通して、EUが国際舞台で重要な役割を果たすべきだという考えを持ち続けている証しだからです。

『EU MAG』6月号では、貧困の撲滅という最終目標に向けて、開発・支援が効果的かつ適切に利用されるために、EUが行っているさまざまな努力を説明しています。この政策分野における日・EU協力の強化の動きも紹介しています。また、本号のQ&AではEUの予算を取り上げ、EU予算の使い方を広い観点から理解していただく参考資料を提供しています。

平等と人権はEUの最も基本的な価値に含まれており、あらゆる形の差別を我々の社会から排除するために、EUは多くの具体的戦略を立ち上げ、推進しています。本号では、日本も直面する人口高齢化の中で、女性の活躍領域を拡大することがますます重要になっていることに鑑み、EUの男女平等問題への取り組みにもスポットを当てました。

2012年夏のロンドン・オリンピックが近づいてきました。皆さまの多くは日本チームを応援されるかと思いますが、オリンピックの栄冠を目指して戦う欧州選手のことも知っていただきたく、あまり日本に知られていない選手を紹介しています。ぜひ、楽しんでお読みください。

ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート
Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使