2017.3.7
MESSAGE
日本の多くの方々にとって、3月は会計年度や学校年度の終わりを意味する年度末、すなわち「締めくくり」の月です。
欧州連合(EU)にとって3月は、今日のEUの基礎となる「ローマ条約」が1957年3月25日に調印されたことを記念する特別な月です。本年は条約調印から60周年という歴史的な節目を迎え、駐日EU代表部でも、21世紀のEUの新しい展望や、急速に変化する国際環境においてEUがいかに重要な存在であり続けるかについて、日本の皆さまの理解の一助となるよう、一連の関連行事の開催を予定しています。
EUを中傷する人たちが、移民・難民の圧力やユーロ圏のジレンマ、EU離脱を決めた英国の国民投票の結果といった問題を引き合いに、EUが多くの危機に見舞われていると主張しているのは承知しています。しかし、このたびの60周年は、欧州統合計画の発足につながった理念、そしてEUが過去60年を通じて達成してきた成果を振り返る良い機会となることと信じています。これらの成果は、自由市場と公正な競争による平和と繁栄の推進、開発援助、人権と基本的自由の尊重を通じて、EU市民のみならず世界中の人々の利益につながってきました。
3月はまた、英国がリスボン条約の第50条を発動し、EUからの離脱プロセスを正式に開始すると表明している月でもあります。交渉がどのように進展するのか、27カ国のEUと英国との間にどのような関係が築かれることになるのかについて、現時点ではまだ予測ができません。しかし、EUが今後も国際舞台において、経済および政治の主要な担い手であり続けることは確かです。われわれは、日本との戦略的パートナーシップを維持し、一層発展させていくことを期待しており、日・EU関係を次のレベルにまで高める意思と勢いが存在することを確信しています。
このように、私どもにとって3月は「締めくくり」では決してないのです。それはローマ条約にあるEUのルーツに思いを馳せる時期であり、新しい進歩の一年に向けた出発点なのです。
ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使
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