Behind the news ニュースの背景

ジェンダーと政治的立場のバランスが取れた次期EU首脳人事
2019年は、欧州議会と欧州委員会の構成員が入れ替わり、主要機関の首脳が新しくなるEUにとって大きな節目の年だ。EU史上初めて、欧州委員会委員長に女性が選出されるなど、進みつつある首脳人事の現状と次期首脳・首脳候補の横顔を伝える。
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着実に進むEUと日本の関係強化 ~第26回日・EU定期首脳協議~
本年に入って発効したEPAと暫定適用が開始したSPAにより、日・EU間の協力関係はますます深まっている。26回目の開催となる4月下旬に開かれた日・EU定期首脳協議では、これら2協定の実施状況を評価するとともに、約2カ月後に控えたG20大阪サミットを視野に入れた話し合いが行われ、今後のさらなる二者間の連携を示す共同声明を発表した。
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核融合エネルギー研究で日欧協力が進む「サテライト・トカマク計画」
日本とEUは長年にわたり、社会が直面するさまざまな課題へ対応すべく、数多くの共同研究を行ってきている。その一つが持続可能なエネルギー生産を目指す核融合エネルギー研究、すなわち、量子科学技術研究開発機構(QST)那珂核融合研究所(茨城県那珂市)で進行中の「サテライト・トカマク計画」(JT-60SAプロジェクト)だ。
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COP24でEUが世界に示した2050年までの戦略的展望
2018年12月に開かれ、気候変動抑制を目的として多国間で合意したパリ協定を実施するための「ルールブック」を採択したCOP24。欧州委員会はそれに先立ち、2050年までに気候中立な経済の実現を目指す戦略的展望(ビジョン)を発表。COP24においても、EUが他国を先導し、気候変動に対して耐性のある未来に寄与するための長期ビジョンを、世界のパートナーに対して明示した。今後EUでは、電力、産業、輸送、農業、建物などの各分野で、低炭素社会への移行に向けた多角的な取り組みが計画されている。
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連結がさらに強まるアジア欧州会合(ASEM)とEUの対アジア新戦略
欧州とアジアの両地域が対話し、幅広い分野での協力を目指す相互協議の場、「アジア欧州会合(ASEM)」。2018年10月18日、19日にブリュッセルで開かれた第12回ASEM首脳会合では、参加国・機関の首脳が連結性を強める取り組みを進めていくことに合意した。また今回のASEM開催に連動し、両地域の国々から若者が集まった「ASEFヤングリーダーズサミット」についてもレポートする。
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付加価値税(VAT)税制の抜本的改革に向けたEUの取り組み
EUの共通課税制度であるVAT。EU単一市場の構築に不可欠なことから導入された後、幾つかの問題点を改善しながら、現在に至っている。EUのVAT税制が整備されてきた軌跡をたどり、その抜本的改革に向けて行われた、ここ数カ月間の新しい動きを紹介する。
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日・EUの連携を強める戦略的パートナーシップ協定(SPA)
日本とEUの間の経済連携協定(EPA)と戦略的パートナーシップ協定(SPA)が、2018年7月に署名されたことによって、二者間関係が飛躍的に進展することが期待される。本稿では、SPAで掲げられた4つの目標と具体的な内容を概説する。
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広がるディスインフォメーションの対策に乗り出したEU
近年、ソーシャルメディアの著しい発達により、真偽が明らかでない情報も容易かつ瞬時に拡散されるようになった。特に、国家や企業、個人の信用を失わせることを目的に故意に流されるディスインフォメーション(虚偽情報、disinformation)は、きわめて重大な問題をはらんでいる。そこで欧州委員会は、本年4月26日、まん延するディスインフォメーションの対策として、EU共通の実務規範を定めることなどを盛り込んだ政策文書「ネット上のディスインフォメーションに対する欧州の取り組み」を策定した。
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経済通貨同盟(EMU)深化のためのロードマップ
欧州経済の安定を揺るぎないものとして、2025年までにEMUをさらに強化していくことを目標に、昨年12月に欧州委員会が立案したロードマップと4つの取り組み。中でも本稿では、EMUの深化につながる欧州通貨基金(EMF)の創設と、新設を提案された欧州経済・財務大臣の果たす役割について、主に解説する。
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第二段階へと準備が整う、英国のEU脱退交渉
昨年12月に英国を除くEUは、同国脱退を巡る交渉の第一段階で「十分な進展があった」と結論付け、次段階へ進むための指針を採択。また本年1月末には、脱退に向けた「移行期間に関する交渉指令」を採択するなどの進展が見られた。これらの動きの中で、EU諸機関が進めてきたそれぞれの取り決めについて解説する。
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英国EU脱退交渉の3つの優先課題 ~市民の権利、アイルランド/北アイルランド関係、未払い分担金清算~
英国のEU脱退に関わる条件や枠組みなどの交渉が始まって半年。本年12月8日には欧州委員会が、市民の権利、アイルランド・北アイルランドの対話、および分担金清算という3つの交渉優先分野を巡って十分な進展があったと結論付けるように、欧州理事会に対して勧告した。本稿では、これら3つの優先課題の背景について解説する。
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発効30周年を迎えた単一欧州議定書 ~EU統合の一里塚~
3月のローマ条約調印60周年、7月の「単一欧州議定書」発効30周年など、2017年は欧州統合の発展において重要な節目の年となった。今号はEC/EUの「深化」を促進した単一欧州議定書の目的や意義などを考察する。執筆は、田中俊郎慶應義塾大学名誉教授/ジャン・モネ・チェア・アド・ペルソナム。
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