2024.5.1

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思考の糧としての「チーム・ヨーロッパ」イベント

思考の糧としての「チーム・ヨーロッパ」イベント

冬もようやく終わりを迎え、欧州連合(EU)は、これから数カ月にわたる非常に多忙な時期に向け準備を進めています。まず欧州では、6月に何億人ものEU市民が投票する「欧州議会選挙」が控えています。それは5年に一度、全27加盟国の有権者が共にEUの将来の方向性を決める、他に類を見ない重要な選挙です。この選挙を皮切りに、年内に新しい欧州委員会が発足するなど、主要EU諸機関の首脳陣が交代する政治プロセスが始まります。

今年、720議席を巡って争われる欧州議会選挙は、6月6日~9日に実施されます。近年の世界情勢は、何より開かれた活発な民主主義を有することの重要性を浮き彫りにしました。そして、自由で公正な選挙はそうした民主的なプロセスの中心にあります。私たちは、日本など域外で暮らす人々も含め、一人でも多くのEU市民が選挙人として登録し、票を投じ、自らの意思を示すことを強く願っています。

一方、ここ日本では、私たちEU代表部は、前身が開設されてから今年で50年を迎え、これを祝うさまざまな記念行事の準備を進めています。政策の優先課題を明確にし、「チーム・ヨーロッパ」としてEU加盟各国と緊密に連携してイベントを実施しています。

その一環として、4月に「東京レインボープライド2024」に参加した際には、ベルギー、デンマーク、フランス、アイルランドおよびスウェーデンの各大使館の協力を得てブースを共同出展し、欧州内外でのLGBTIQ+の人々の権利の擁護と促進に向けたEUの取り組みを紹介、成功を収めました。ドイツとマルタもそれぞれブースを出展した他、イベント最終日に行われたパレードには、EU代表部や加盟各国大使館から外交官や職員が大勢参加しました。

この勢いを維持するべく、5月11日には、豊かな文化、歴史、食が織りなす欧州の姿を自信を持って紹介する1日限りのイベント「EUヴィレッジ」を、東京都心にある「KITTE丸の内」にて開催します。会場では、飲食や音楽の演奏など、EUのモットーである「多様性の中の統合」を来場者の皆様に実際に体感していただける機会となることは間違いありません。

友人である日本の皆様の多くが、こうしたイベントに足を運んで下さり、私たちが「チーム・ヨーロッパ」として活動している様子を見ることで、変化し続ける世界の中で日本の重要なパートナーであるEUの真の姿を垣間見る機会となることを切に願っています。同時に、日本に在住・来訪中のEU市民に対しても、EUやその加盟国、「チーム・ヨーロッパ」が主催するイベントを見かけたり聞いたりした際には、ぜひ立ち寄っていただきたいと思います。そうした経験は、EUが体現しているものやEUの可能性、また外の世界からEUがどのように映るのかを考え直す機会となるはずです。そして、極めて重要な6月の欧州議会選挙やその後の政治プロセスを前に、そこで見聞したことが考える材料となることを期待しています。

ジャン=エリック・パケ
駐日欧州連合特命全権大使

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