2025.3.26
EU-JAPAN
2023年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でチェコ代表として活躍したマレク・フルプ選手(26)が2024年9月、日本プロ野球の名門チーム、読売ジャイアンツと育成選手契約を結んだ。2025年3月、日本プロ野球界では初の欧州連合(EU)加盟国出身の選手として、一軍入りを目指すフルプ選手にインタビューした。
A. 残念ながら、チェコでは野球人気はあまり高くありません。若者に人気のスポーツとしては10位内にも入りませんし、野球のルールを知らない人も大勢います。バスケットボールやサッカー、アイスホッケーといった伝統的なスポーツは、試合中絶えず動きがありますが、野球は展開がもっとスローです。そういったところも不人気の理由かもしれません。
私の場合は、父が趣味で野球をしていて、(米メジャーリーグの)シアトル・マリナーズの欧州担当スカウトも務めていたので、一緒に野球観戦に出かけたり、テレビで試合を見たりしていました。私にとって、野球は幼い頃から身近な存在だったんです。初めて野球の試合に出場したのは7歳の時です。
15歳~18歳まで、(チェコの野球リーグ)エクストラリーガでプレーしました。プロリーグというよりはセミプロのクラブチームのようなイメージで、一部リーグと二部リーグ、それぞれ8チームあります。シーズンは4月~9月頃までですが、選手の多くは他に仕事を持っているので、試合は週末の開催が多く、1シーズン40試合ほどでしょうか。外国人選手を除いて、基本的に無報酬です。その後、米国の大学から奨学金を受けて野球留学し、卒業後は1年ほど米国の独立リーグでプレーしました。
日本に初めて来たのは、2015年夏、大阪で開かれた U-18ベースボールワールドカップ(世界野球ソフトボール連盟: WBSC主催)にチェコ代表メンバーとして参加した時です。とても暑かったのを覚えています。当時16歳で、他の選手より若かったのですが、いいパフォーマンスができて楽しかったです。
2023年にチェコ代表がWBCに初出場してから、チェコでの野球への関心は確実に高まってきています。まだまだ人気のスポーツとは言えませんが、野球をする子供たちも少しずつ増えてきています。
A. 2024年7月に、ジャイアンツの駐米OBスカウトを務めているジョージ・アリアス氏から初めて連絡をもらいました。当時は米国の独立リーグでプレーしていたのですが、成績があまり良くなくて、自分の野球人生はこれで終わりかなと考えていました。WBCで日本と対戦した時から私に注目していたそうなのですが、1年以上経っていたので、連絡をもらった時は正直驚きました。その後、あっという間に話が進んで、9月には契約を結びました。
ジャイアンツは、「日本のニューヨーク・ヤンキース」と称されるチームだと聞いていましたが、入団してみると、テクノロジーを駆使してプレーするプロフェッショナル集団だと思いました。そんなチームの一員になれたことはとてもうれしく、心から誇りに思っています。日本に来て半年ほどなので、まだまだ学ぶことばかりですが、非常にレベルの高いチームだと感じています。
A. 普段は主に読売ジャイアンツ球場(神奈川県川崎市)で練習しているのですが、昨年10月に東京ドームでの練習に参加しました。また、今年3月1日には、一軍に合流してヤクルトとのオープン戦で打席に立ちました。一安打を打ててホッとしました。
WBCでも東京ドームでプレーしましたが、あの時はチェコ代表として日本と戦ったので、日本を応援する観客でいっぱいでした。今回はジャイアンツのメンバーとして応援してもらえました。公式戦ではありませんでしたが、東京ドームで初めてファンの声援を受けながらプレーできたのは素晴らしい経験でした。
A. パディシャーク投手はWBCのチームメートです。今年2月にオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブと契約して来日しました。私より2歳年下ですが、素晴らしい選手です。彼も米国でプレーした経験があります。
これまで、チェコの高校生が野球を続けるには、米国の大学に進学するか、メジャーリーグと契約するかくらいしか道はありませんでしたが、私たちが日本で活躍することでチェコの若い選手に道が開かれることを願っています。
A. チェコを離れて、米国と日本でプレーしてきました。米国の野球はパワーで敵を圧倒するというプレースタイルですが、日本の野球はもっと頭を使って勝つことを重視しているように思います。ですから日本の野球ではスピードや技術がより重要になってきます。米国での経験を生かし、フィジカルな面を強化しながら日本のプレースタイルを身に着けていきたいです。
正直に言って、私は米国の野球よりも日本の野球の方が好きです。できるだけ長く日本でプレーしたいと思っています。将来のことは分かりませんが、日本語をもっと勉強して、日本で生活していきたいです。でも日本語はとても難しいですね。
日本のプロ野球は世界でもトップレベルです。今は二軍の選手ですが、いずれ一軍でプレーして、チェコにもプロとして戦える選手がいるということを多くの人に知ってもらいたいです。
2028年のロサンゼルス夏季オリンピックにチェコ代表として出場することも目標の一つです。オリンピックに出場すれば、チェコ国内での野球への注目度は間違いなく高まります。でも欧州の出場枠は1つしかないので、チェコが出場するには(欧州で強豪の)オランダやイタリアに勝たなければなりません。厳しい戦いになると思いますが、不可能ではないと信じています。
A. 今でもチェコに帰国した時には必ずアカデミーなどで子供たちに野球を教えています。私には世界トップ2の野球大国である日本と米国でプレーした経験があるので、将来、選手を引退したら、チェコに戻ってコーチになり、日米両国で学んだことを若い世代に伝えていきたいです。
A. ぜひ海外の野球に目を向けてほしいと思います。日本のプロ野球には外国人選手枠の定めがあり、試合に出られる選手の数に限りがありますが、幸いにも私は日本でプロの選手としてプレーするチャンスを得られました。しかし、欧州やカリブ海諸国など、世界にはプロとして野球をする機会に恵まれない選手がたくさんいます。ですから日本の野球ファンの皆さんには、海外の野球選手に目を向け、応援し続けてほしいのです。
また、実力がまだトップレベルに達していない若手選手にも声援を送ってほしいと思います。未来のトップ選手が成長していく過程を見るのも楽しいと思います。
A. チェコは何と言ってもビールがおいしいです。日本のビールもおいしいですが、チェコのビールは世界一だとチェコ人はみんな思っています。私が最初に覚えた日本語も「生ください!」でした。
フルプ選手が読売ジャイアンツと育成選手契約を結んだことは、フルプ選手とチェコ野球界にとって、この上なく喜ばしい出来事でした。チェコ出身の野球選手でこのような偉業を成し遂げたのは、フルプ選手が初めてです。成功を心からお祈りするとともに、フルプ選手の日本での活躍により、チェコの野球が一層発展するものと確信しています。
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