2012.6.1
FEATURE
ロンドン・オリンピックの開幕まで2カ月を切った。欧州連合(EU)加盟国の中で注目の選手は? EU MAGならではの情報ネットワークを駆使して、日本ではまだあまり知られていない「超おススメ」の有望選手を5人に絞って紹介!
まずは開催国・英国の注目選手から。地元ロンドンの近郊ブロムリー出身の20歳。4年前の北京ではまだ芽が出なかったが、翌年には200メートルで2分4秒台をマークし、欧州記録を更新。2011年の世界水泳選手権では銀メダルに輝いた。100メートルでは今年に入って自己ベスト、国内新となる57秒25を記録するなど調子を上げており、十分にメダル圏内だ。選手生活を送るのはオーストラリアのメルボルンだが、ロンドンでは地元選手として大声援を受けるのは間違いない。実力に加えてアイドルばりのルックス。地元だけでなく世界中に「エリー・マニア」を生みそうだ。日本のライバル、星奈津美と自己記録を比べると、100メートルでガンディが1秒53リード、逆に200メートルでは星が14/100秒リードと拮抗(きっこう)している。日本からも注目されることになるだろう。
ウクライナの鳥人セルゲイ・ブブカのもつ6メートル14の世界記録はここ18年間破られていない。そのブブカでも成し遂げられなかった五輪での6メートル超えは果たして実現するのか? 現時点で一番近いのは、北京の金メダリストで6メートル06の自己ベスト(2009年)をもつオーストラリアのスティーブン・フッカー。しかしそのフッカーももうすぐ30歳になる。王者を若さで脅かすのが伸び盛りの23歳、ポーランドのパウェル・ヴォイチェホフスキだ。19歳のときに世界ジュニア選手権で銀メダルをとって以来の4年間で、自己ベストを5メートル40から5メートル91へと伸ばしている。2011年はついに世界陸上を制して頂点を極めたうえ、年間世界最高記録を達成、欧州陸連が全種目から選ぶ「ライジング・スター」(新人)部門で2位になるなど、まさに“飛躍”の年だった。
1992年のバルセロナ以来5大会連続で五輪ベスト4(銅メダル3度)という欧州の強豪リトアニア。最近については、2010年の世界選手権3位のあと、2011年の欧州選手権では準々決勝で伏兵マケドニアに敗れ5位とやや不本意に終わった。そんな中、挽回の切り札となりそうなのが弱冠20歳、213センチのセンター、ヨナス・バランチュナスだ。2010年のU-18世界選手権、2011年のU-19世界選手権でいずれもリトアニアを優勝に導いてMVPに輝いた新星。今回の五輪で国民300万人の期待が最も高い選手のひとり。問題は、リトアニアが五輪出場権※を獲得できるかどうかだが、デビューしたてのナショナルチームにも慣れ、世界最終予選への進出に大きく貢献した。最終予選は7月2日から8日、12カ国が3つの出場枠をかけて争う。まずはここで欧州最高の若手プレーヤーのお手並み拝見だ。
※五輪のバスケットボール出場国は、世界選手権優勝国、各大陸の選手権優勝国(米、欧は準優勝国も)、開催国の9カ国に加え、世界最終予選の上位3カ国を合わせた計12カ国が出場。
普段はあまりなじみのない競技が見られるのも五輪の魅力。中でもフェンシング、射撃、馬術、水泳、ランニングの5種目で総合点を競う近代五種競技は、五輪ならではという印象が強い。まったく異なる分野の技術をモノにした超人たちの中でも、ひときわ目立つのが、女優のような美貌がまぶしいエロディ・クルヴェルだ。競泳から近代五種に転向してまだ3年という23歳。2012年3月の近代五輪W杯リオデジャネイロ大会で初の国際タイトルを手にした。両親がともに国際レベルの元陸上選手という素養に加え、仏競泳界の鬼コーチとして知られるフィリップ・リュカ氏の下で精神力を鍛えられた。厳しい練習にもへこたれない強靭な身体に恵まれ、まだ「学ぶことだらけ」という伸びしろの豊かさが最大の武器。エロディの活躍で“マイナー”競技に一躍スポットが当たりそうだ。
美女はいいから「イケメン」を、という女性読者の声にお応えして、数ある美男選手の中から、もっとも男臭く、かつ実力を備えた選手を紹介しよう。2010年、2011年と欧州選手権2連覇を果たした柔道73キロ級のジョアン・ピナ。世界の猛者がひしめく同級では、ともに23歳と若い韓国の王己春と日本の中矢力が双璧で、30歳のピナは、国際柔道連盟のランキングで10位とやや引き離されている。しかし若手2人にはない豊富な経験が武器だ。アジアの柔道家とはまったく違って、ラテン系らしく闘志をむき出しにしてくる姿は、さながら「イベリアの闘犬」。積極果敢に大技を仕掛け続ける戦いぶりは見ていて気持ちがよい。流れを自分側に持ち込む試合運びにも長けており、大舞台で若い実力者に一泡吹かせる可能性は大いにある。
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