EU首脳来日などイベント目白押しの5月

本年私は、駐日EU大使として初めてヨーロッパ・デー（EU創設記念日）を迎えました。

ヨーロッパ・デーとは、1950年5月9日、当時フランスの外相であったロベール・シューマンが、欧州の国々に向けて、それぞれの石炭と鉄鋼資源を共同で生産･管理し、互いに戦争をできなくしよう、と提案した時の先見の明に、思いを馳せる日です。

戦争で疲弊した欧州にとって、それは理にかなった手段でした。その後6つの国々により創設された欧州石炭鉄鋼共同体を皮切りとして、超国家的欧州機関が次々と設立され、ついには今のEUへとつながって行きました。

当代表部では、5月から6月の半ばまでの間、さまざまな行事を主催または後援し、特に、市民交流の促進や、EUへの関心の喚起に務めます。例えば、毎年恒例の「欧州留学フェアー」は、欧州各国が提供する広範な教育の機会を一挙に紹介するイベントとして、大成功を収めています。また、本年も「EUフィルムデーズ」を開催することにより、欧州映画の多様性と深さを、観客にお伝えします。本年は、両行事とも、東京に加えて京都市でも開催いたします。

さらに、今月は、日・EU定期首脳協議（日・EUサミット）が東京で開催され、EUからは新たな顔ぶれが会合に臨みます。ドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長、ジャン＝クロード・ユンカー欧州委員会委員長に加え、フェデリカ・モゲリーニEU外務安全保障上級代表兼欧州委員会副委員長とセシリア・マルムストロム通商担当委員も出席を予定しています。サミットでは日･EU間の通商、政治協力、分野別協力、地域や国際問題に関する意見交換など、包括的な協議が期待できます。

双方の首脳陣が、建設的な協議を行うことにより、日・EU関係をより深く、より広いものへと導いてくれるものと、私は確信しています。

ヴィオレル・イスティチョアイア＝ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使