ブリュッセルでのテロ攻撃とG7体制の意義

世界の多くの人にとって悲しいことに、欧州連合(EU)諸機関がベルギー政府とその国民の寛容を享受してきたブリュッセルで、3月22日に同時多発テロ事件が起きてしまいました。私たちも、もはや桜が満開になる季節を、この惨事への悲嘆を抱くことなくして、思い出すことはできなくなりました。

テロ事件の発生を受けて、世界139カ国に存在するEU代表部の一つとして、我々も弔意を表しました。間髪を置かず、加盟国首脳とEUの諸機関の長は、ベルギーに結束の意を繰り返し伝えるとともに、必要とされる万策を駆使して、憎むべき過激主義とテロの暴力に対抗し続ける決意を表明しました。

欧州統合のプロジェクトは、寛容と和解を土台としています。我々は、世界において、欧州とその核たる価値である、民主主義、人権の尊重、法の支配などを共有する人々が増えている、と確信しています。

そのようなパートナーの一つが、本年の主要国首脳会議(G7サミット)の議長国である日本です。さらに重要なことに、4月10日と11日の両日に広島で開催される外務大臣会合によって幕が開く、一連の関連会合では、世界が抱える広範な課題が協議されることになっています。その議題の多くが、国際社会によるテロとの戦いに、直接的あるいは間接的に関連しているのです。私は、このような会合により、我々が共通の目標に向かって協力をすれば、いかに多くを達成することができるかが実証されるもの、と期待しています。

この戦いは、何週間や何カ月という単位で勝利できるものではありません。しかし、EUは、人道援助、開発援助、外交的なアウトリーチ活動から持続可能な成長や雇用創出を刺激するような政策や、世界経済において自らの役割を果たすための施策まで、持てるあらゆる手段を使いつつ、今回の恐ろしい出来事の後も、強靭な姿を示し続ける決意です。

 

ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使