2025.9.2

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首脳協議踏まえ、さらなる日・EU連携へ

首脳協議踏まえ、さらなる日・EU連携へ

この夏、日本では猛暑と豪雨に襲われた地域もありましたが、読者の皆様におかれましては、夏休みの間にしっかりと英気を養うことができていましたら幸いです。このような厳しい天候にも関らず、2025年大阪・関西万博の欧州連合(EU)パビリオンは変わらず盛況で、50万人目の来館者をお迎えすることができました。

私自身や当代表部の職員にとってこの8月は、特に秋に複数のEU高官らの来日が予定されていることもあり、7月23日に東京で開催された第30回日・EU定期首脳協議の主な合意事項を整理し、それを今後どのように具体的な行動に移していくかを検討する時間でした。

同首脳協議では、高まる地政学・地経学的な圧力を背景に、アントニオ・コスタ欧州理事会議長およびウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が、日本の石破茂総理大臣と会合しました。また、欧州とインド太平洋の安全保障がますます不可分となる昨今の情勢を反映して、カヤ・カラスEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長も来日し、岩屋毅外務大臣および中谷元防衛大臣と会談しました。ロシアによるウクライナ侵攻からインド太平洋の安定への脅威の高まり、取引的な性格を強める国際貿易に至るまで、EUと日本は、ルールに基づく国際秩序の堅持に取り組む主要な存在として戦略的な連携を一層強化する必要性を認識しています。

EUと日本のパートナーシップは、単に戦略的であるだけではなく、共有する原則や共通のビジョンに基づいています。両者の首脳は、「経済連携協定(EPA)」や「グリーンアライアンス」、「デジタルパートナーシップ」など一連の既存の主要合意を踏まえ、貿易、経済安全保障とイノベーション、グリーンとデジタルの移行という三つの柱を軸に戦略的な依存の低減を目指す「日・EU競争力アライアンス」を新たに立ち上げ、さらに協力を深化させることに合意しました。

欧州と日本は、地理的には遠く離れていますが、多くの課題や脅威を共有しています。そして、何より、私たちは公平性や開放性、ルールの尊重など価値を共有しています。力を合わせることで、私たちは自らの利益を守るだけでなく、全ての人に利益をもたらすルールに基づく国際秩序を形成するだけの力があります。その実現に向けて、引き続き日本の友人の皆様と共に取り組んで行くことを楽しみにしています。

ジャン=エリック・パケ
駐日欧州連合特命全権大使

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