「ヨーロッパ言語の日」を祝おう！

欧州連合（EU）には24の公用語と、多数の地域言語・少数言語が存在する。こうした言語の多様性を広く伝え、言語学習のきっかけとするために設けられたのが、毎年9月26日の「ヨーロッパ言語の日（European Day of Languages）」である。EU加盟各国では、この日を記念して多様な言語や文化を祝う多くのイベントが開催されている。日本でも、駐日EU代表部がある東京・広尾で、スタンプラリーや語学体験など、欧州の言語と文化に触れられる催しが行われる。

「ヨーロッパ言語の日」とは

27加盟国を抱えるEUには、ブルガリア語、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ハンガリー語、アイルランド語、イタリア語、ラトビア語、リトアニア語、マルタ語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、スロヴァキア語、スロヴェニア語、スペイン語、スウェーデン語の24の公用語がある。加えて60以上の地域言語や少数言語、移民がもたらした言語も話されており、EUは世界でも類を見ない多言語空間である。

こうした言語的多様性を広く伝え、言語学習のきっかけとするために設けられたのが、毎年9月26日の「ヨーロッパ言語の日（European Day of Languages）」である。この記念日は、2001年に欧州評議会（Council of Europe）とEUが共催した「欧州言語年（European Year of Languages）」をきっかけに創設され、以来、欧州各地や世界各国で祝われている。

「ヨーロッパ言語の日」の目的は次の3点である。

• 言語学習が異文化理解や人々のつながりに役立つことを伝える
• 欧州で話されている多様な言語を紹介する
• 全ての世代に対して、学校内外での言語学習を奨励する

この日には、語学カフェやクイズ、体験型ワークショップなど、誰もが楽しめるイベントが多数開催される。EUの執行機関、欧州委員会は加盟国で行われるイベントを支援しており、EU域外の代表部も地元パートナーと協力して催しを企画している。流暢に話せなくても、関心と意欲があれば誰でも参加できるのが魅力である。

多言語主義への高い支持

EUの基本原則の一つは「多言語主義」である。EU市民は、24の公用語のいずれの言語でもEU機関とやり取りできる。EUの法令は全公用語で公開され、EU理事会や欧州議会では全言語への通訳が行われる。

この仕組みは欧州連合の機能に関する条約（Treaty on the Functioning of the European Union）第342条と欧州経済共同体理事会規則第1号（EEC Council Regulation No. 1）で定められており、英語は2020年1月に英国がEUを脱退した後も公用語として残っている。多言語主義はEUの柱の一つであり、言語の多様性を守り、学習を促している。

2023年のユーロバロメーター（EU世論調査）によると、EU市民の86％が「母語以外に少なくとも1つの言語を話せるべき」と答え、69％が「2つ以上話せるべき」と考えている。84％が地域言語や少数言語は保護されるべきだと答えており、多言語主義は広く支持されている。

外国語または第二言語として最も多く使われているのは英語で、EU市民の約半数の47％が英語で会話できると回答、15〜24歳の若者ではその割合は70％に上った。次いでフランス語（EU市民全体の11％、若者の14％）、ドイツ語（10％、12％）、スペイン語（7％、13％）が多かった。

また、新しい言語を学ぶことの主な利点として、51％が「他の国で働けること」、45％が「他の国の人々を理解できること」と回答した。

広尾で楽しむ「ヨーロッパ言語の日」

日本でも「ヨーロッパ言語の日」を記念したイベントが開催される。2025年9月26日（金）から28日（日）まで、東京都港区の広尾駅前・広尾散歩通りで「European Day of Languages in Hiroo Sampo Do-ri 2025」が行われる。主催は、EU加盟国の在日文化機関ネットワークであるEUNIC Japanと広尾商店街振興組合である。

3回目となる今回は、EU加盟国のうち15カ国が参加。街を巡りながら各国のクイズに答えてスタンプを集めるラリーのほか、最終日の28日には各国ブースでの語学レッスンや文化体験、ノベルティ抽選会など、多彩なアクティビティが予定されている。言語を通じて広がる欧州の多様な文化と価値観に触れ、新しい学びや出会いを体験してみてはいかがだろうか。

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