欧州対外投資計画について教えてください

2017/02/07

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2016年9月、欧州委員会は欧州対外投資計画(EEIP)の新設を提案した。アフリカおよび欧州連合(EU)近隣諸国との連携強化のための投資を促進し、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献することが目的。同計画導入の背景、従来の投資とは異なる点、また全体の仕組みなどについて解説する。

Q1. なぜ欧州対外投資計画(EEIP)が必要なのですか。

途上国では、依然として包括的で持続可能な経済成長と雇用の創出を成し遂げることが主要な課題となっています。アフリカとEU近隣諸国における投資環境および全体的な政策環境は、民間セクターにとって必ずしも投資しやすいものとはいえません。このことは、紛争や暴力に左右されやすいぜい弱な国々で特に明白であり、その中には非正規移民を送り出している重要な国もあります。

EEIPは、EU予算と欧州開発基金(European Development Fund)から33億5,000万ユーロを拠出して、革新的な保証制度と民間投資への同様の措置を支えることにより、最大で440億ユーロの投資を呼び込むことを可能にします。EU加盟国や他のパートナーがEUの拠出金と同額を提供すれば、投資総額は880億ユーロに達することもあり得ます。

EEIPを通して、アフリカおよびEU近隣諸国における国連の「持続可能な開発目標」の達成に貢献することを目的としている © European Union, 1995-2017

Q2. EEIPの、どのような点が新しいのでしょうか。そしてEEIPにはどのような効果が見込まれているのでしょうか。

EEIPは一貫した整合性あるアプローチを目指しています。EEIPを実行することでEUは、パートナー国とより有益なパートナーシップを発展させる際に、また同時に開発資金調達に関する国際的なコミットメントを遂行する際に、リーダーシップを発揮することができるのです。

グラント(返済義務を課さない資金供与)は依然として不可欠ですが、われわれはこれまでのような古典的な開発援助の枠を超えて支援する必要があり、保証と革新的な金融商品を駆使して、投資、貿易、国内資源の活用や良きガバナンスを促進し、当初の効果を増幅させます。EEIPは、公的資金の使われ方や、国の諸機関と民間投資家が、同じ投資案件に共同で取り組む方法を改善します。

EEIPはアフリカおよびEU近隣諸国において、持続可能な投資を促進し、移民の根本原因のいくつかに対処するための、一貫した包括的な枠組みを初めて提供します。EU、EU加盟国、その他の資金提供者、金融機関および民間セクターからの資金を活用することで実現できるのです。

さらにEEIPは、民間セクターには、政治的なリスクのより高い状況で投資するための保証を与えています。そして投資家が保証なしには見向きもしないであろう場所に、民間投資を引き付けることを可能にする重要な点に取り組んでいます。

投資は主に、社会と経済のインフラ、例えば、地方自治体のインフラや近隣サービス※1の改善を目指すものとなるでしょう。中小企業、小規模金融(マイクロファイナンス)や雇用創出プロジェクトへの支援も提供します。

EEIPは従来の投資モデルにとらわれない保証と金融商品を駆使して、公的機関や民間セクターからの投資を引き付けることを可能にする © Sashkin / Fotolia, European Parliamentary Research Service Blog

Q3. EUは現在どのようなことをしていますか。そしてEUはこれまでに学んだ経験を生かしていますか。

欧州委員会は、EUレベルで行ってきた既存の投資プログラム、たとえば現行のEUのブレンディング(blending、混合手法)枠組みを通じた教訓を導き出しています。ブレンディングとは、一定限度のEUの資金(グラント)を利用することで、金融機関や民間セクターから融資などの形で追加の支援を引き出すことです。これにより投資プロジェクトの開発効果が高まります。このように、EUは、開発援助相手国において、近代的なインフラへの投資と、中小・零細企業(MSME)の資金調達を既に支援しています。EEIPはこれらの経験を活用しながら、EU、国際金融機関、資金提供者、国の諸機関、および民間セクターが調整しながら十分に協力することを可能にします。

EEIPはまた、大きな成功を収めている「欧州投資計画(Investment Plan for Europe)」で得られた経験に基づいています。同投資計画の欧州戦略投資基金(EFSI)は、1年足らずで26の加盟国にわたって1,160億ユーロに迫る資金を呼び込みました。同期間に、すでに20万以上の中小企業がEFSIの恩恵を受けているのです。

Q4. EEIPはどのように機能するのでしょうか。

EEIPは以下の3つの柱を基本とします。

第1の柱
新しい投資基金「持続可能な開発のための欧州基金(European Fund for Sustainable Development=EFSD)」。民間の投資に対する障害を特定して取り除くための新たな保証を付与したブレンディング(混合手法)の取り組みです。

第2の柱
より広範な政策環境のための技術的な支援。民間セクターをさらに巻き込むために、現地の当局や企業がより多くの持続可能なプロジェクトを開発し、投資家を引き付けることを支援します。EFSDの下で利用できる手段には、総合窓口(ワン・ストップ・ショップ)が提供する統合サービスを通じて、全ての投資家がアクセスできるようになります。

第3の柱
さまざまなテーマ別・国別・地域別の特定のEU開発協力プログラム。当該国の投資環境や全体的な政策環境の改善を目的として持たれる構造的政治対話と併用されます。

出典:European Commission HP

さらに、欧州投資銀行(EIB)の融資業務は、EEIPの不可欠な部分を担っています。このために、欧州委員会は、EIB対外融資マンデートにおけるEU予算の保証額を計53億ユーロ拡大することにしました。この新しい資金源を含めると、EIBは2014年から2020年までの間に、EUの保証の下で323億ユーロまで融資できるようになります。

欧州投資銀行はEUのバランスの取れた発展に寄与することを目標にした政策金融機関で、本部はルクセンブルクに置かれている © European Union, 1995-2017

Q5. EEIPの支援を受ける資格があるのは誰なのでしょう。

公的機関および民間事業者は、支援を受ける資格があります。投資窓口で投資提案を提出し、欧州委員会のための独立した外部専門家が実施する財務査定(評価)を受けた後に、欧州委員会と保証契約を締結できます。

Q6. EEIPの対象となるのはどの国ですか。

最初に、アフリカとEU近隣諸国が対象になります。投資障壁を取り除き、持続可能な開発と雇用創出に貢献するという観点から、支援を受けることができます。

Q7. 個々の企業はどのように投資プロジェクトを提出できますか。

開設予定のEEIPのポータルサイトを通じて、提出ができるようになります。関心のある企業は投資プロジェクトの保証を要請することができます。

関連情報

欧州委員会
State of the Union 2016: European External Investment Plan
欧州対外行動庁(EEAS)
Proposal for a European External Investment Plan – Factsheet

※1^ コミュニティを基礎として、社会サービスの供給者と利用者が密接な関係を持つようなシステム。雇用創出機能と市民的個人的な社会サービスのニーズの両方を実現する。形態としては非営利・協同組織を取ることが多い。(出典:総研いのちとくらし)

2017/02/07

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