日・EU関係の実りの秋への期待

© European Union, 2019 / Y.Shimazu

今年、初めて東京で夏を過ごしましたが、耐え難いほどに蒸し暑かったのは2週間程度で、正直少しほっとしているところです。しかしながら、日本各地で多くの方々が豪雨や酷暑などの異常気象に苦労されたことに思いを馳せると、来る秋は一息つける季節であってほしいと願うばかりです。

「実りの季節」である秋を迎える中、連結性(コネクティビティ)と科学研究という具体的な2つの分野が、欧州連合(EU)と日本の間の協力関係の一層の進展に格好の材料を提供しようとしています。

前者については、「EU・アジア連結性-持続可能な未来へ橋を懸ける」と題したハイレベルフォーラムが9月27日にブリュッセルで開催されます。フォーラムには欧州委員会のジャン=クロード・ユンカー委員長をはじめとする首脳レベルの登壇者が、欧州とアジアの関係にとって、またより広範な世界にとって連結性が持つ意味を、さまざまな角度から検討する予定です。

一方、ここ日本では、政策研究大学院大学(GRIPS)と私たち駐日EU代表部が共催する「第10回EU・日本科学政策フォーラム」が、10月5日に京都で開催されます。同フォーラムは、EUと日本の政策立案者や学者などの関係者が集まり、両者の協力関係の強化や、それぞれの研究・イノベーション資金助成プログラムの相乗効果の向上について考える良い機会となります。

10月は、天皇陛下の即位をお祝いする式典「即位礼正殿の儀」が予定されており、とりわけ縁起の良い月です。式典には、EUおよび加盟国からも元首や首脳またはそれに準ずる高位の代表者が参列する予定です。私は歴史家として、令和の時代の重要な瞬間を経験できることを嬉しく思っています。

10月は、EUにとって将来の首脳陣を決める重要な月です。欧州委員会の次期委員長に指名されたウルズラ・フォン・デア・ライエンが委員を選び、その案をEU理事会と欧州議会に提出し承認を求める予定になっています。

最後に、英国がEUを脱退する予定の10月31日に向けて時間が押し迫る中、残念ながら、不透明な状況が好転する兆しが見られません。遺憾ながら、英国の合意なき離脱(hard Brexit)を覚悟しておく必要があると懸念しています。

パトリシア・フロア
駐日欧州連合特命全権大使

Patricia FLOR
Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan