新型コロナとの闘いで連携を図るEU

本年の5月9日(ヨーロッパ・デー)は、「シューマン宣言」の70周年を祝う日であります。当時のフランス外務大臣であったロベール・シューマンが今日の欧州連合(EU)の原型となる欧州石炭鉄鋼共同体の創設を呼びかけたこの宣言は、団結することで強くなるという信念に支えられた、平和を希求する連帯への呼びかけでした。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に襲われる中、70年が経過した今も、連帯はわたしたちの合言葉でなければなりません。多くの国がその初期対応に苦しみましたが、EUの機関や加盟国も例外ではありませんでした。

しかし、不安定な立ち上がりを経て、医療物資の共同備蓄の開始から域外に足止めされた市民の帰還支援の連携に至るまで、欧州の連帯は揺るぎないものとなりました。EUは、患者の診断・治療法の改善への研究資金の提供や、財政規律や国家補助に関する規則の柔軟な運用などを可能にしました。また、雇用維持を目的とする各国の制度に資金を拠出する施策を提案しました。

域外では、EUの加盟国や金融機関と共に200億ユーロもの資金を動員し、新型コロナウイルスのパンデミックとそれが社会・保健・経済に及ぼす影響への対策として、パートナー諸国、特にアフリカやEUの近隣諸国を支援します。

世界規模のパンデミックには、世界規模の解決策が必要です。そのため、EUは、国連、世界保健機関(WHO)、国際通貨基金(IMF)など多国間機関と緊密に連携を取りながらパンデミックとの闘いの中心に立ち、全力で取り組んでいます。一方、EUが環境への配慮やデジタル化の推進に重点を置いた回復を目指す、コロナウイルス後の世界を見失わないことも必要です。

パンデミックから出現する新しい秩序を形成する上で、日本は重要なパートナーです。またEUと日本は、多国間主義の精神の下、持続可能な形で世界経済と国際貿易を再始動するために協力することができます。特に将来のパンデミックに対する耐性を高めるためなど、共同研究の分野にも大きな可能性があります。

幸いにも、日・EU間には、こうした取り組みを支え、指針となる経済連携協定(EPA)および戦略的パートナーシップ協定(SPA)があります。わたしたち駐日EU代表部は、EUと日本が一層強固なパートナーとしてこの危機を脱することができるよう、あらゆる機会を利用して、日本の関係者の皆さまと協力・連携して参ります。

パトリシア・フロア
駐日欧州連合特命全権大使

Patricia FLOR
Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan