日・EU関係にフレッシュな季節の到来

日本では4月の声を聞くと、空気にも一種のさわやかさを感じるようになります。学校では新学年が、企業では新年度が始まるこの時季、学生服やスーツを着た若者たちの表情は、これから踏み出す世界への期待と緊張が混じっているように思えます。

また今月には、日本と欧州連合(EU)の間で「戦略的パートナーシップ協定」と「自由貿易協定(FTA)」に向けた1回目の交渉が、それぞれ東京とブリュッセルで行われており、日・EU関係にも待ちに待った新しい空気が吹き込まれようとしています。

この2つの協定が目指す交渉の基礎を整備するために、2年以上にわたり日欧双方の担当官が積み重ねてきた献身的な努力と徹底した協議を考えると、いよいよ交渉が開始されたことに、大いに胸が高鳴るのを感じます。

しかし、人生の新たなページを開こうとしている若い男女と違うのは、日欧双方に緊張感はほとんど存在しないということです。双方が、この交渉が何を目指しているのかを熟知しているからです。この2つの協定は日欧関係の活性化のみならず、世界的課題への対応において協力し、ひいては国際社会に貢献する枠組みを考案する大きな可能性を秘めているのです。

今の時点で交渉が終結する日を予想することはできませんが、1年後には進捗状況の評価が実施されるため、初年からできるだけ多くを達成するために、全力を挙げて取り組むことが求められています。バランスがとれ、しかも遠大かつ野心的な協定を締結するという決意を双方が共有していると、私は確信しています。

ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート

Hans Dietmar SCHWEISGUT
駐日欧州連合大使