新型コロナウィルス感染拡大対策には国際連携が不可欠

例年より穏やかであった冬も過ぎ、近ごろは春の兆しも見え始めました。一方で、季節の移り変わりとともに、不穏な空気も漂い始めています。

2月1日に、日・EU経済連携協定(EPA)の発効1周年を迎え、協定により日・EU間の貿易が伸びて双方の企業が恩恵を受けていることが確認されました。しかしそのわずか数週間後に、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に暗い影を落とし始めたのです。

これまでにも感染症の世界的な大流行はありましたが、このような国境のない問題を目の当たりにすると、グローバル化によって、私たちは本当に「一つの世界」にいるということを実感します。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客と乗組員の国籍が多様であることは、その好例です。実際、船に検疫措置が取られた際には、100人ほどの欧州市民が乗船していました。

グローバルな問題は、グローバルな協力によってのみ解決することができる、とよく言われますが、それが今回も当てはまります。新型肺炎「COVID-19」対策は、国際的な取り組みであり、透明性および情報や経験、成功事例の交換が、効果的な治療法とワクチンの発見に役立ちます。

EUは、こうした取り組みの先頭に立ち、感染症の流行対策に全面的に取り組む所存です。世界保健機関(WHO)への拠出金を含む約2億3,200万ユーロの資金援助に加えて、EUは、「市民保護メカニズム」を活用して、日本の当局との緊密な連携の下、イタリアの航空機がダイアモンド・プリンセス号から数十名の欧州市民を帰還させるのを支援しました。また今回、英国、スイスおよびノルウェーが、ここ東京でのEUの領事担当官の集まりに参加しているのは、特筆すべきことです。このような状況において、欧州はEU加盟国の枠を超えて連帯しているのです。

春は、新しい始まりの季節です。春が新しい知見をもたらし、今回の感染症の流行を抑える一助となることを心より願っています。

パトリシア・フロア
駐日欧州連合特命全権大使

Patricia FLOR
Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the European Union to Japan