駐日EU代表部開設40周年

PART 2

駐日EU代表部、現在の役割と今後

南麻布のヨーロッパハウスとかわいいロボット

ヨーロッパハウス落成記念で行われた鏡開き。福田元首相(右から3人目)、アシュトンEU上級代表らが参加した(2011年11月2日) Photo by S. Kuyama. © EU, 2011

1974年、駐日欧州連合(EU)代表部の前身である駐日欧州共同体(EC)委員会代表部が設立されたことは、EC委員会のような国際組織が存在しない当時の日本にとって、画期的な出来事だった。

EC委員会代表部は、EC/EUの変遷とともに姿を変え、1993年のマーストリヒト条約を機に駐日欧州委員会代表部に、2009年のリスボン条約を経て、現在の駐日EU代表部となる。2011年8月に、駐日EU代表部は東京都港区南麻布の地に「ヨーロッパハウス」を建造、千代田区から移転した。

ヨーロッパハウスの壁に描かれたかわいらしい「ユパン」

東京メトロ日比谷線広尾駅で下車し、有栖川宮記念公園横、ドイツ大使館前の坂を上りきり、右に折れてしばらく行くと、28加盟国の国旗が一列に並び、その向こうにオフィス棟と住居棟で構成される「ヨーロッパハウス」が見えてくる。建物側面にはかわいらしいロボットが描かれている。このロボットは研究とイノベーション分野における日・EU協力を象徴するために誕生し、日本在住者から名前を募集し、つい最近「ユパン」と命名された。

さまざまな加盟国出身の外交官と日本人職員で構成される

来日中のEU首脳と駐日EU代表部職員の集合写真(2013年11月) Photo: The Council of the European Union

日・EU関係における優先課題に基づき、駐日EU代表部は政治経済部、通商部、広報部、科学技術部、総務部の5部署で構成されている。2014年7月現在、オーストリア人である大使を含め、21名の外交官(うち男性13名、女性8名)、外交官を補佐する36名の現地雇用職員(うち男性11名、女性25名)、ほか数名の研修生が働いている。

代表部職員の国籍は、EU加盟国と日本で、内訳は、日本人が29名、英国人が5名、フランス人が4名、ドイツ人が3名、ベルギー人、オランダ人、フィンランド人、アイルランド人、スペイン人が2名ずつ、オーストリア人、ブルガリア人、ハンガリー人、ポーランド人、ルーマニア人、スウェーデン人が1名ずつとなっている(研修生は含めず)。代表部内で使用する言語は英語だが、他の欧州言語も日常的に話されており、中には流ちょうに日本語を話す欧州人の職員もいる。

EU政策の推進とその理解、普及における日本とEUをつなぐ懸け橋

シュヴァイスグート現駐日EU大使

日本においてEUを代表する存在である駐日代表部。ECの時代の1990年以来、その代表は天皇に信任状を捧呈し、大使の地位を認められている。第10代代表である現在のハンス・ディートマール・シュヴァイスグート大使は、リスボン条約発効後に任命された最初のEU大使である。

駐日EU代表部は、EUと日本とをつなぐ大切な懸け橋として、以下の役割を担っている。

駐日代表部の主な役割

・日本においてEUを代表する。

・日本との二者間関係を円滑かつ成功裏に拡大、深化、強化することを通じ、EUのあらゆる政策課題を進展させる。

・EU諸機関のため、日本の政治・経済・外交・社会問題・通商などの動向を報告する。
これに関し、日本の政界・官界・経済界・実業界・市民社会・高等教育界等の主な担い手とネットワークを構築・維持・発展させる。

・日本におけるEUに対するより良い理解を醸成する。EUの動向・政策・目的・目標に対する知識や関心を広め、その存在を高める。

・EUのプログラムやプロジェクトを効果的に運営する手助けをする。

・在日EU加盟国大使館との緊密な協力関係を育成する。加盟国の大使会合や部門別参事官会合などを定期的に開催する。

・上記の目標達成のための広報活動を行う。
市民交流・文化イベントの開催やウェブサイトの運営が含まれる。本ウェブ広報誌『EU MAG』発行もそのひとつである。

全世界のEU代表部を管轄している欧州対外行動庁(EEAS)を率いるキャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、駐日代表部の開設40周年にあたり、以下のメッセージを寄せた。

© European Union, 2014

日・EU関係発展のため期待される代表部の役割

EU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長
キャサリン・アシュトン

日本にEU代表部が設立されてから本年でちょうど40年になります。この40年間を通じて、日本とEUは、互いの距離を縮め、かつてないほど重要な関係を築き上げてきました。日本とEUが野心的な自由貿易協定(FTA)と包括的な戦略的パートナーシップ協定(SPA)の並行交渉に取り組んでいる今、40周年という重要な節目を迎えることは喜ばしい限りです。

かつて貿易一辺倒であった日本とEUの関係は、この数十年で大きく変わり、今では、相互関係の範囲を大きく超えた、真に包括的で未来志向のものとなっています。共有の利益と目標という堅固な基礎の上に、対外政策の協調を図り、各々の近隣において、また遠く離れた地域において、地域の安全と安定、核不拡散、基本権と自由、持続可能な開発を推進しています。

成熟した日・EU協力は、緊密化と多様性を増し、サイバーセキュリティ、宇宙政策、研究とイノベーションなどの広い分野において協働していくことで合意しています。日本とEUは、世界規模の課題へ向けた対応努力において、最前線を並走しています。2015年以降の野心的な「開発アジェンダ」に向けた作業においても、気候変動への対策においても、国際経済の成長促進や、金融安定化においても、緊密に協力して取り組んでいます。さらに、2014年5月の日・EU首脳協議では、EUの共通安全保障・防衛政策(CSDP)下のミッションの一部に関わる具体的協力について、日本のより本格的な参画にかかる中期的展望を伴う合意がなされ、安全保障における連携を大きく向上させる道が開かれました。

40周年という節目は、戦略的パートナーシップを進化させたいという日本とEU双方の意欲を再確認する機会ともいえます。それは、民主主義、人権尊重など共通の価値と、開かれた市場、ルールに基づいた国際システムなどの共通の原則に裏打ちされたパートナーシップなのです。EUが、アジアにおける最重要戦略的パートナーである日本との協力の領域を拡大し、二者間関係を高い水準に引き上げるために、中心的な役割を果たしている駐日EU代表部の成功を祈ります。そして、日本とEUの関係が今後も成果を挙げ続けることを願ってやみません。

アシュトン上級代表の言葉にあるとおり、駐日EU代表部は40年の歴史を引き継ぎ、これからも新たな時代に対応して、日・EU関係の発展のために力を尽くしていく。